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「標準的な運賃」活用で希望額収受率が改善、国交省

2023年5月15日 (月)

行政・団体国土交通省は12日、トラック運送事業者の適切な運賃収受を促すために国交相が提示する運賃水準「標準的な運賃」制度について、トラック運送事業者や荷主企業を対象に実施した調査の結果をまとめた。それによると、2021年度に比べ、22年度のトラック運送事業者による運賃交渉の実施割合は52%から69%に、荷主との交渉時に一定の希望額を収受できた割合も33%から63%に改善され、同制度の一定の効果を示す結果が出た。また、24年3月末までの時限制度である標準的な運賃の延長を希望するトラック運送事業者は76%いた。

調査はことし2月7日から3月末まで、全日本トラック協会の会員事業者と、ホワイト物流推進運動に参画する荷主企業に対して実施。標準的な運賃制度は、小型車(2トン)からトレーラー(20トン)クラスの一般的な車両で実運送を行う場合の基準となる運賃を「距離制」「時間制」のそれぞれで示すことで、トラック運送事業者に荷主との適切な運賃交渉に活用してもらう狙いがある。

22年度はトラック運送事業者の69%が運賃交渉を行ったが、うち21%は「標準的な運賃を提示」、27%は「標準的な運賃を考慮した運賃を提示」している。交渉の末に荷主の理解が得られ「希望額を収受できた」割合は30%、「一部収受できた」のは33%。事業者全体を分母に、運賃交渉で荷主から一定の理解を得られた事業者は43%となり、前年度の15%から3倍に伸長している。標準的な運賃にかかわらず「具体的な値上げ額や値上げ率を提示」した場合の希望額の収受率はやや下がって58%で、「交渉自体に応じてもらえない」割合は標準的な運賃を提示した場合の2倍となっている。

同制度の認知度について尋ねた問いでは、「原価計算の方法を理解している」トラック運送事業者は43%で、前年度調査の33%を上回った。「原価計算を実施した」事業者は79%と、前年度の32%から大きく伸長している。原価計算を実施していない事業者のうち、4割は「やり方がわからない」と答えたこともあり、制度の浸透についてはさらなる改善の余地も残されている。

一方で荷主の認知は、同制度の金額、あるいは原価計算の方法を理解している割合が74%で、前年度からの変化はなかった。ただ、トラック運送事業者から運賃交渉を打診された割合は61%と前年度から倍増しており、うち「提示された運賃を(一定程度以上)受け入れた」のは91%(前年度は62%)にも上った。

■今すぐわかる標準的な運賃(出所:国土交通省)
https://jta.or.jp/wp-content/uploads/2023/01/hyoujun_imasugu.pdf

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LOGISTICS TODAY編集部
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