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心機一転/ドライバー日誌第10回

2023年6月5日 (月)

話題ドライバーとしての配達員デビューは、ほろ苦いものとなった。ルート選択や雨対策に注意を傾けすぎた結果、顧客のサインにおける配慮に目が届かなかったからだ。荷物の配送とは、箱を運ぶことだけが仕事ではない。そんな当たり前のことを体で理解できていなかったことに、強い自省の念が込み上げてきた。

(イメージ)

いや、そこにいつまでもこだわっていては、2軒目以降の配送にも悪い影響を及ぼしてしまう。それだけは絶対に避けなければならない。まだ午前中だけで16か所も配送先があるのだ。失敗は次で改善することしかないのだ。

2軒目以降は、物流センターを中心とした半円状に配送先が点在する。三日月のように北から南下して、西側に曲がって終了する。そんなコース設定になっている。2番目の訪問先は、ちょうど三日月の北端ということになる。

雨はまだ続いているものの、やや小降りになってきた。「幸先がよい」と思うことで、気分を高めていく。ちょうど10分後、2番目の訪問先に到着した。玄関前にちょうどよい駐車スペースがなかったため、20メートルほど前方で駐車する。

▲気を取り直して2番目の訪問先へ。ビニール袋の装着もしっかりと

玄関先ではないことから、今回は箱を抱えて直接、訪問することにした。もちろん、ビニール袋で雨除けを施したのは言うまでもない。呼び鈴を押す。ベルは鳴っているのだが、応答がない。不在のようだ。

こうした宅配訪問の場合、2回3回と重ねて呼び鈴を押す配送員もいるそうだが、呼び鈴が適正に動いているならば、何度押しても結果は同じである。さらには、乳幼児を育てている顧客であれば、あえて無音に設定し起こさないようにしている場合もある。こうした観点から、呼び鈴を繰り返し押すのは好ましくないと考えた。これは、研修時に先輩の乗務を見学した際の振る舞いからも、間違っていないようである。

不在時にどう対応するか。そのヒントは、伝票にあった。(つづく)

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