ピックアップテーマ
 
テーマ一覧
 
スペシャルコンテンツ一覧

運送事業特化の経営支援サービス「トラッカーズ」によるDX

正念場の運送会社、経営改善は伴走者選びがカギ

2023年10月4日 (水)

話題「何とかなるだろう、では何ともならなくなるのが、2024年問題です」ーーAzoop(アズープ、東京都港区)の代表取締役社長CEOの朴貴頌氏は改めて、一刻も早い物流危機対応を呼びかける。

▲代表取締役社長CEOの朴貴頌氏

「運送会社で、本当に2024年問題対策を終えているのはまだわずかじゃないでしょうか。大半は取り組み半ば、もしくは考えている段階、残りは、何をしていいのか、何から始めれば良いのかわからないといったところかと思います」と言うのはプロダクト責任者である取締役の土井浩司氏。「運送自体はフィジカルな仕事だからDXに置き換えられないのではという方もいるのですが、まずデータを活用して会社の現状を知り、そこからできることを考える、そんなDXのスタートもあることを知ってもらえればと思います。なんとかするためのヒントはたくさんあります」(朴氏)

運送会社の経営体質自体を見直し、変革すること。同社が提供するDXの本質とは、ただの効率化ではなく、これまでの「当たり前」を見直し、変革に向けた道筋を示唆することにある。

2024年問題へ、運送業務支援サービス「トラッカーズマネージャー」で見えること

同社が展開する事業「トラッカーズ」は、運送会社に特化し、車両売買や、DXサービス提供、人材採用など、さまざまな角度から運送会社の経営体質改善をサポートすることで、業界全体での発展に寄与することを目標にしている。

なかでも「トラッカーズマネージャー」は、業務DXと経営分析・BI(ビジネス・インテリジェンス)で事業をサポートする運送業務支援サービスであり、「車両や運行管理業務の効率化はもちろん、経営体質改善につながる経営分析、改善業務にもご活用いただくことができます」(朴氏)

これまでも、売上管理や請求書発行の基盤としての運行管理システムや、車両運用状況確認のための車両管理システムはあったが、売上を全体管理するだけであったり、会社内でも担当部署や拠点の違いで一括管理されていないなど属人化されたりと、経営の効率化において必須となるデータの見える化や、原価計算に使えるシステムではなかった。

▲プロダクト責任者で取締役の土井浩司氏

「運送会社にとって大切な資産である、『ドライバー(人)』『車両(モノ)』『運行(お金)』は、一元管理することではじめて、経営判断に使える情報となります。3つのデータを網羅することで、それぞれの情報管理を楽にするだけでなく、収益構造の見直しまで広げることが、トラッカーズマネージャーの導入で実現する見える化と言えます」(土井氏)

ドライバー(人)に紐づく運転者情報や事故記録。車両(モノ)に紐づく燃料費や整備・修理情報。運行(お金)に紐づく売上、請求書管理。これらを一元管理することで、車両ごとの収益、減価率の計算などはもちろん、どういうドライバーが利益を上げているかといった情報も可視化でき、事故による資産毀損の未然防止にも役立つ。「車両を増やして台数規模で売り上げを伸ばすことが事業拡大につながった時代は過去のもの。運ぶ人が足りない、簡単にトラックを増やすこともできない状況で、いかに効率的にモノを運び、車両一台あたりの収益を上げていくかが重要となっています。トラッカーズマネージャーはそれらのデータ活用を手助けし、これからの運賃交渉に向けた材料を準備することも可能となります」(土井氏)

▲サービス概要(クリックして拡大)

これからの持続的な運送事業経営では、荷主に対して適正な運賃を交渉することも、経営者にとっての重要な責務となる。とはいえ、DXされていない現場では、その運賃交渉の材料となるデータ自体が集積、整理されていない。これまでの経験や感覚に基づいた運賃交渉では、どれくらいの運賃値上げが適正なのか、どの項目でのコスト増が課題なのか、荷主への説得材料にはなり得ない。「これまでの当たり前や慣例といったものから脱却するための武器が、トラッカーズマネージャーです。運賃交渉において、データから収益改善のポイントを洗い出せば、荷主に対して適正と納得させるだけの論理的な交渉材料となります。もちろん、その交渉におけるポイントについても私たちがサポートできます」(朴氏)

データ活用の最初の一歩から、伴走者としてサポートする経営改善

「ただデータだけ集めても、その正しい分析の仕方や経営に活用する方法がわからなければ意味がありません。私たちの強みは、ただユーザーにシステムを使ってもらうためだけの伴走ではなく、データの可視化やデータの解釈の仕方まで、改善に向けてともに走り続けていく姿勢でのサポートだと考えています。他のシステムとの連携により、より効率的な情報管理と経営分析も可能となるなど、連携の広がりによって拡大するデータの生かし方についても、しっかりとサポートしていきます」(土井氏)。

トラッカーズマネージャーの集積データを、デジタコやIT点呼、位置情報システムなどの各種管理システムと連携させれば、車両ごとの損益レポートだけではなく、環境問題対応での燃料・CO2排出レポートや、改善基準告示への対応における勤怠レポートなど、データ経営の基盤となるさまざまな判断材料を基にプラットフォーム上で経営判断できる。同社が先日発表した、トランストロン(神奈川県横浜市)の提供する運行支援サービスとの自動連携はその具体例のひとつ。この連携によりトラッカーズマネージャー上でドライバーの拘束時間・運転時間の自動集計と可視化が実現した。今後、ドライバーの適正な労働時間なども取り込んで運行・配車できる機能を提供する予定としており、法令とドライバーの運行実績に合わせた運行計画の立案など、2024年問題で複雑化する勤怠管理とも機能連携した運送支援サービスへと拡張できる。

▲他社とのデータ連携イメージ(クリックして拡大)

人材支援トラッカーズジョブなど、業界内資産の有効活用による活性化

朴氏は、「儲けにならないけどこれまでの付き合いで、みたいな昔ながらの経営判断は、もはや美徳でも何でもありません。すべては、物流危機の本質でもある、ドライバーの収入を上げ、収益改善につながる経営であるか。その観点からの経営改革に意識的であるべきです」と語り、運行管理などの運送業務支援だけではなく、物流業界内の限られたリソースを有効に活用できるスキーム作りでも、業界全体の体質改善を目指す。ドライバーなど物流専門人材に特化した人材紹介サービス「トラッカーズジョブ」では、トラッカーズマネージャーの人材データベースも活用して、物流人材の流動化、活性化、限られた資源の有効活用を促す。

▲サービス概要と他社比較(クリックして拡大)

「車などのモノも、ドライバーなど人も、適材適所での活用を促せば、付加価値ある経営資源となり、業界自体の活性化につながります。トラッカーズジョブはまだ、ことし4月に始まったばかりのサービスですが、毎月数百名が新たに会員登録をしていただいている状況であり、これからも利用者を増やすことが、未来につながると投資だと考えています」(朴氏)。同社がトラッカーズジョブ、中古車売買プラットフォーム「トラッカーズオークション」などにおいて展開する業界内リソースの有効活用への取り組みは、その究極の仕組みとしてのM&Aまでも主要事業の一環に据え、物流業界に特化したM&Aのコンサルティングにも力を注ぐ。今後、激しい変動が予想される運送業界では、将来へ向けた「再編」もまた、業界活性化の重要なカギとなる。

顧客との伴走から生まれる、働きたいと思わせる物流業界作り

▲ダッシュボード機能画面(クリックして拡大)

ユーザーとの伴走をコンセプトとするAzoopは、データ経営でのコンサルティング現場から、さらにユーザーのニーズを拾い上げ、サービスのブラッシュアップにも活用することで常に進化を続けている。トラッカーズマネージャーにおいても、経営分析・改善業務を支援するダッシュボード機能を大幅にアップデート。売上・損益や原価推移等を可視化する「損益ダッシュボード」、燃料単価や燃費推移等を可視化する「燃料ダッシュボード」、事故原因や事故区分ごとの件数推移等を可視化する「事故ダッシュボード」の機能を新たに追加してサービスを強化した。

朴氏は、「私たちができることは、運送会社の経営体質を変革することから、物流業界全体の力を上げるためのお手伝いをすること。そこには当然、ドライバーをはじめ、物流業界で働く人々の賃金を上げることも含まれます。適正な運送会社として事業継続できる体質に変わってもらうことから、運送業界で働きたいと思う人々を増やしていく。そのための道のりを一歩ずつ、未来への投資としてサービスを拡充していきます」と語り、運送業界の次世代を担う人々にとって、可能性が広がる業界作りを目指していく。

運送業務支援サービス「トラッカーズマネージャー」
「トラッカーズジョブ」
トラックドライバー専門求人サイト