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日清食品とJA全農、共同輸送で包括的連携を開始

2023年10月31日 (火)

フード日清食品と全国農業協同組合連合会(JA全農)は10月31日、2024年問題への対応として、物流面での連携を行うと発表した。日清食品が原料とする米穀などの国産農産物の供給と、製品となったカップライス製品などの輸送を共同で行うことを発表した。共同輸送は10月からスタートしている。

▲(左から)JA全農の高尾雅之常務理事、日清食品の深井雅裕取締役

共同輸送を行うのは岩手・茨城間と福岡・山口間。岩手・茨城間ではJA全農の倉庫から関東の精米工場へ米穀をトラックで輸送した後、同じトラックが茨城の日清食品生産工場に移動し、岩手に即席食品を輸送。福岡・山口間では、福岡の精米工場から山口の日清食品生産工場へカップライスの減量米を輸送し、同じ工場で生産された即席食品を同じトラックに積み込み、福岡にある日清食品の製品倉庫に輸送する。調達物流と製品物流を組み合わせ、複数の荷主で往路・復路共に可能な限り空車回送区間をなくす「ラウンド輸送」を行うことで、岩手・茨城間では実車率が12%向上、福岡・山口間ではトラックの積載率が9%向上し、CO2排出量が17%削減できる見込みだ。特に山口では精米の輸送先の工場から横持ちなしで、工場で生産された製品の輸送を行う。


▲(上から)岩手・茨城間、福岡・山口間のラウンド輸送フロー(クリックで拡大、出所:日清食品)

今回の輸送はトラックによるものだが、両者間ではトレーラー輸送や鉄道、海上輸送などでの連携も検討しているという。現在、茨城へは岩手から直接コメを輸送しているが、JA全農は関東にコメの拠点倉庫を作ることも検討中。日清食品は、静岡工場でのラウンド輸送の導入も検討しているという。

両社はともに物流危機についての対応を進めており、特に米は重量物であるため運送業者に敬遠されがちな荷物であることから、確実で効率的な輸送を共に模索し、今回の連携に至った。野菜や果物は季節によって産地が異なるため決まった拠点から出荷されないが、収穫後各地域のカントリーエレベーターなどに集められたコメは通年コンスタントに出荷されるため、ラウンド輸送に適している。

日清食品側では原材料の供給を受けながらも、JA全農側がどこにコメを貯蔵しているのかなどについては関知していなかった。15年にわたってカップライス用の米の取引を行うなかで信頼関係が醸成され、双方の物流、拠点などについての情報交換が行われるに至り、協業が可能になったという。

JA全農ではコメを紙袋のほか、各種企画のフレコン(フレキシブルコンテナ)などさまざまな似姿で出荷しているが、現在は1.08トンのフレコンでの出荷の統一化を進めており、効率化と同時に、荷役作業の労力軽減も図り、人材不足への対策の1つとしていく。

両者ともにこれからもさまざまな形での輸送の協業を進めるとともに、他社とも配送面での協業を検討していくという。

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LOGISTICS TODAY編集部
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