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フリー軽貨物ドライバーの「労働者」該当事例を発表

2023年12月22日 (金)

調査・データ厚生労働省は21日、貨物軽自動車運送事業を手がける個人事業主が、労働基準法上の労働者に該当すると判断された事例を発表した。同運送事業に関しては他の業種と比べて申告が多く、労基法上の労働者に該当するか否か判断が難しいケースがあることから、過去の事例を基に判断基準を示した。

事例の一つは、個人事業主である配送員が業務中に負傷し、労災保険給付の対象となるか否かについて、配送員から労働基準監督署に相談があったケース。荷主が元請け事業者に配送を委託するとともに、元請け事業者が委託契約書に基づき、当該配送員に対して再委託していた。

労働者性を判断する要素として、配送に使用する軽自動車が個人所有で、ガソリンや車検代を本人が負担していたこと、採用選考過程は一般の労働者と同様に求人情報による募集や面接による選考が行われていること、報酬の税制上の取り扱いについて、本人が確定申告を行っていることなどが挙げられた一方、他社の業務に従事することは制約されていなかった。労働者性を肯定、否定する要素が一定程度混在していたが、業務遂行上の指揮監督関係や時間的拘束性があり、報酬も業務に必要な時間の対価として認められるものであるとし、労働者に該当すると判断された。

また、報酬不払いについて、2次下請けの個人事業主の配送員から労働基準監督署に相談があった事例では、配送に使用する軽自動車は元請け事業者からのリースで、リース料は本人が負担していることや、報酬の税制上の取り扱いについて本人が確定申告を行っていることなどから、業務遂行上の指揮監督関係や時間的拘束性、報酬の労務対償性が強いことなどを理由に、労働者に該当するものと判断されている。

労務する側、して貰う側、いずれもが業務内容の確認を

紹介されているのは、「業務委託」の「個人事業主」であるドライバーが、法律上の「労働者」に当たると判断された事例。このように、働き方に「労働者性」がある、と判断された場合は、労働基準法に定められた労働時間や賃⾦等に関するルールが適⽤されることになる。また、ストライキを起こして雇用者と交渉することができ、雇用者はこの交渉を正当な理由なく拒んだりすることなどが禁 ⽌されることにもなる。23年10月には、ヤマト運輸が多数の従業員と契約を終了した際にも団体交渉が行われたが、これも従業員が労働者性を根拠におこなったもの。ウーバーのようなギグワーカーでも労働者性が認められた例がある。いわゆる2024年問題は物流業界の働き改革という側面もあるが、トラックドライバーや物流拠点の従業員などについても、労働者性の有無が問われるようなケースがより増えていく可能性もある。

クロネコメイト問題で初団交、ヤマトの対応に変化か

ウーバー配達員との団体交渉命じる、都労委|短報

 

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