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首都圏大型マルチ物流施設、空室率は上昇傾向に

2024年4月30日 (火)

調査・データシービーアールイー(CBRE、東京都千代田区)が26日発表した、大型マルチテナント型物流施設(LMT)の2024年第1四半期マーケットレポートによると、首都圏では首都圏中央連絡自動車道(圏央道)沿いを中心に空室率が上昇しており、次期にも10%を超える可能性があるという。

首都圏でのLMTの空室率は9.7%と、前期から0.4ポイント上昇。新規供給物件は10棟19万坪で、うち4棟の満床を含み竣工時稼働率は50%を超えた。新規需要は14万8000坪と23年四半期平均を下回る水準で、昨年竣工の物件では外縁部を中心に空室の消化に時間がかかっているようだ。ここに複数の既存物件で新たに発生した空室も加わり、首都圏全体の空室面積は62万4000坪となった。次期の新規供給予定18万2000坪のうち、現時点の成約率は30%程度の進ちょくであり、空室率は10%を超える可能性があると見ている。

圏央道エリアの空室率は13.7%と、前期比0.2%上昇。茨城県の複数の物件で大型の契約があったものの、3棟の新規供給のうち2棟が大きく空室を抱えて竣工したことに加え、既存物件でも空室が発生した。新規需要も23年四半期平均を下回る水準だった。より都心に近い地域で多くの空室が残っているため、圏央道エリアではテナントの引き合いが相対的に弱く、引き続き空室の消化に時間がかかっており、25年も大規模な新規供給が予定されていることから、空室率はさらに上昇すると見ている。

国道16号エリアでも、空室率は同0.2ポイント上昇の9.6%となった。同エリアでの新規供給は今期最多の6棟で、うち4棟が満床での稼働となっている。新規需要は前期を上回っており、神奈川方面では物流企業以外でも大型の契約が複数見られたが、依然として空室の消化に時間がかかっている物件も少なくなく、空室面積は33万9000坪と、首都圏の空室面積の半分を占めている状況だ。

外環道エリアの空室率は、1.5ポイント上昇し4.4%。前期の空室は埋まったが、新規供給の1棟が空室を抱えて竣工したことで空室率が上昇した。第3四半期に2棟の新規供給が控えており、リーシングの進ちょく次第では一時的に空室率が上昇する可能性はあるが、現時点で空室のある物件は2棟と少ないため、25年にかけて緩やかに空室率が低下すると予測している。

東京ベイエリアは前期比の空室率が唯一低下し、0.8ポイント低下の11.3%だった。空室のあった既存の2物件でリーシングが進んだ。

新規テナントの業種は物流企業が主体で、そのほかEC(電子商取引)、アパレル、機械系メーカーなど幅広い業種で成約があり、国道16号エリアでは1棟契約や大型区画で契約する事例もあった。

首都圏全体の実質賃料は1坪当たり4500円で、前期比0.4%下落。圏央道エリアでは4期連続の下落で、マイナス0.6%の同3570円だった。そのほか、国道16号エリアはマイナス0.2%の4520円。外環道エリアはプラス0.2%で5190円、東京ベイエリアはマイナス0.1%の7630円となっている。

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LOGISTICS TODAY編集部
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