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金融政策の影響小さく不動産投資は活況、JLL

2024年7月19日 (金)

調査・データ総合不動産サービス大手のジョーンズ・ラング・ラサール(JLL、東京都千代田区)は18日、金利上昇による日本の不動産市場への影響や投資需要を分析したレポート「活況が続く日本の不動産投資市場」を発表した。当面は、日銀が金利の引き上げに慎重な姿勢を続けることによって、良好な資金調達環境が続くと予測され、東京都心のオフィスビルや物流施設などを中心に活発な不動産投資が続くとしている。

同社によると、2024年第1四半期の世界の不動産投資額は、前年同期比6%減の1353億ドルと減少したが、日本の不動産投資額は前年同期比45%増の1兆7046億円と大幅に増加した。都市別でみると、東京が世界1位の不動産投資が行われた都市となった。

金融政策を見ると、日銀は物価や賃金、個人消費の動向を見ながら慎重に利上げをしていく方針で、将来的にも急激な金利の変化は起こらないと考えられる。資金繰りや金融機関の貸し出し態度にも大きな変化はなく、金利上昇による資金調達環境への影響は限定的とみられる。

こうしたなか、23年3月に東京証券取引所が全上場企業を対象に「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」を要請したのを受け、今後、企業の株主還元を目的とした不動産売却が増えていくとみられる。また、全国的な再開発事業の増加によって、不動産会社や事業会社による投資資金の確保を目的とした保有不動産や再開発ビルの売却が進むほか、事業会社でも設備投資の資金確保を目的とした保有不動産や賃貸不動産、遊休資産の売却といった動きが活発になると予想される。

一方、投資面では、年金基金がリスク分散や運用利回り向上を目的に不動産を含むオルタナティブ資産への投資を拡大しているが、まだ水準は低く、さらなる拡大余地が見込まれる。インフラ企業も、傘下の資産運用会社による運用資産が拡大傾向にあり、不動産投資需要はさらに高まっていくと考えられる。

20年がピークだった海外投資家による不動産取得額は減少傾向にあり、売却額が増加している。これは、欧米の投資家を中心に不動産ポートフォリオの見直しが続いているほか、高いリターンが見込める投資先が不足していることが要因だとみられる。今後は、賃料の上昇や事業会社による不動産売却が期待でき、高いリターンを見込める投資機会が増加すると予想されることから、海外投資家による不動産取得が再び増加すると予測される。

こうした状況を踏まえ、同社は「金利上昇が懸念されているが、物価上昇や賃金上昇を前提とした慎重な利上げであれば、不動産市場に与える影響は限定的。国内投資家の不動産投資需要は非常に底堅いうえ、海外投資家も欧米と異なる動きをしている日本の不動産に高い関心があり、物件取得が本格化する日は近いと思われる」と分析している。

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LOGISTICS TODAY編集部
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