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港湾GXへ水素基地や洋上風力発電などを整備

2024年9月3日 (火)

行政・団体国土交通省は8月27日に公表した来年度予算概算要求のなかで、国の目標である2050年のカーボンニュートラル実現のため、港湾での水素・アンモニアなどの受け入れ環境の整備や洋上風力発電建設など港湾GX(グリーントランスフォーメーション)を推進する方針を示した。施設整備だけでなく、浚渫(しゅんせつ工事)した土砂を利用した藻場の造成なども進め、多様な生物が生息する海洋環境の実現にも取り組む。

2050年のカーボンニュートラルは国の目標だが、同時に国際的にも脱炭素への取り組みが求められていることから、脱炭素化に配慮した港湾機能の高度化を図ることで、海外の荷主や船社からも選ばれる競争力のある港湾の形成を目指す。

もともと、港湾や臨海部にはCO2排出量の6割を占める産業の多くが集積しており、GXの推進には、こうした産業のエネルギー転換が不可欠となる。このため、水素やアンモニアなどの有力な代替エネルギーの受け入れ環境の整備を進め、産業の構造転換や競争力の強化を図る。

国は、水素やアンモニアの貯蔵施設や水素・アンモニアによる火力発電所のほか、太陽光発電、洋上風力発電基地などが集積するカーボンニュートラルポートの形成に取り組んでおり、事業らによる計画の作成などに対し、費用の2分の1を補助している。脱炭素については、港湾管理者や民間事業所が話し合う「港湾脱炭素化推進協議会」が全国の88港湾で設置され、「港湾脱炭素化推進計画」も28港湾で作成されていることから、補助制度の活用を促しながら、各港湾での取り組みを後押ししていく。

▲カーボンニュートラルポート(CNP)の形成イメージ(クリックで拡大、出所:国土交通省)

また、同省は水素やアンモニアの大規模なサプライチェーンを構築するため、港湾の施設配置や2次輸送体制に関する検討会などを設置。検討結果をとりまとめて、必要な施設の配置や安全対策など港湾における水素・アンモニアの受入環境整備に関するガイドラインを作成する。

洋上風力発電についても、「30年までに10ギガワット、40年までに30-45ギガワットの案件形成」の目標に向けて、港湾周辺での事業者の選定を進める。さらに排他的経済水域(EEZ)での浮体式洋上風力発電を実現するため、海上施工の手法や技術基準などについての検討を行う。

一方、藻場や干潟、生物が生息できる港湾構造物を「ブルーインフラ」と名付け、浚渫土砂などを活用したブルーインフラの整備にも取り組む。堤防周辺に浚渫土砂を投入して浅場を整備し、海藻などが育つ藻場とする。海藻はCO2を吸収するだけでなく、海洋生物の生息場所となるため、多様な生物が生息する環境の保全にも貢献する。

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LOGISTICS TODAY編集部
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