イベント配車管理、動態管理などのシステムを提供するHacobu(ハコブ・東京都港区)は10日、出展をしている「国際物流総合展2024」(9月10-13日、東京ビッグサイト)で、共同輸配送支援サービス「MOVO X-Data(ムーボ・クロスデータ)」のリリースを発表した。
同新サービスは、運行データを基に非効率な運行や車両を抽出し、改善案を提示することで物流の効率化を図るというもの。さらに、拠点間、企業間を跨いだデータ連携を可能にし、効率的かつスピーディーな共同輸配送の検討を実現、これにより、物流コストの大幅な削減やCO2排出量の低減が見込まれるという。
会場ではHacobuの執行役員プロダクト企画本部長の岡幸四郎氏が登壇。開発に至った経緯を説明した。
同氏はまず、ラストワンマイル配送の市場が2兆9250億円なのに対し、企業間物流は29兆2750億円と、10倍以上であることを紹介。また、それだけの市場規模があるにもかかわらず、企業間の共同輸配送は遅々として進まないことの理由は「業務がアナログであったり、情報交換が十分でないことで企業間のデータ共有ができていない実態があるため」(岡氏)と指摘した。そのため、現状では「60%は空気を運んでいるようなもの」(同)なのだという。
同サービスは、同社が展開している車両の動態管理サービス「MOVO Fleet」(ムーボ・フリート)との連携が可能。MOVO Fleetから走行実績のデータを吸い上げ、課題を抽出、運行管理者に改善策を提示する。
岡氏は両サービスを使った、改善策を例示。車両ごとのデータを総合することで、短時間しか稼働していない各社のルートをつなげて一つのルートを設定。こうすることで稼働台数を減らすことができるという。もちろん、余剰の輸送力は別の配送に充てることが可能だ。逆にあまりにも長い配送ルートを走るトラックの業務を一部別の車に移管、稼働を平準化するということもできる。ドライバーの長時間労働を解消するとともに、サプライチェーンにおける炭素排出量の低減などの効果も期待できる。
同社は、三菱食品と共同で同サービスの実証実験を進めてきたが、現場を知る三菱食品SCM統括物流DX推進オフィス室長の白石豊氏も登壇。白石氏によると「三菱食品は全国に350以上の拠点を持つが、拠点ごとに配送パートナーが異なり、輸送の効率化が困難だった」と背景を説明。同サービスの1号プロジェクトとして、試験的導入。また、実証実験によって、時間、場所、頻度といった要素を基に、膨大な運行実績データから組み合わせ候補を抽出し、拠点間で配送コースを効率的に再構成することが可能になったという
三菱食品は全国で1日に7600台のトラックが稼働しているが、年内にはそのうち3000台のトラックにMOVO Fleetを導入する予定。Hacobuは実証実験によって抽出されたニーズをサービスに反映しつつ、企業間における共同配送実現を目指す。また、現段階では運行ルートの決定には人が関与する部分が少なからずあるが、さらなる利用拡大を通じて集められたデータ、知見を元に「いずれはルート決定まで自動化したい」(岡氏)という。
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