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ゼロゼロ融資利用した企業の倒産件数に減少傾向

2024年10月10日 (木)

調査・データ東京商工リサーチ(TSR)は8日、ゼロゼロ融資(実質無利子・無担保融資)を利用した企業の倒産件数に減少傾向が見られてきたとするレポートを公表した。しかし、今後、金融機関が貸し出し金利の引き上げや融資選別を進めた場合、コロナ禍からの経営改善が遅れた企業の倒産件数が増える可能性もあると指摘。先行きへの懸念を示した。

同社のまとめによると、今年度上半期(4-9月)の「ゼロゼロ融資」利用後の倒産は309件(前年同期比7.7%減)で、前年同期より26件減少した。月別に見ると、6月以降、4か月連続で前年同月を下回った。

負債総額は900億9600万円(同17.0%増)で前年同期を上回っている。9月は206億6800万円となり、これまでで最も多額となった今年3月の209億3200万円に次ぐ額となった。

四半期別の件数では、4-6月は177件で、前年同期の163件を上回ったが、7-9月は132件と前年同期の172件を下回った。特に、8月は22年7月の35件以来、25か月ぶりに40件を下回り、9月も41件に留まるなど、件数は減少傾向で落ち着きを見せつつある。

ゼロゼロ融資などコロナ関連支援策は、倒産を抑制するのに劇的な効果を発揮したが、その副作用として過剰な債務を抱えた企業を生み出した。さらに、コロナ禍が落ち着くと、円安やロシアのウクライナ侵攻などによる物価高が企業の経営を圧迫。規模が小さい企業ほど価格転嫁は難しく、収益確保に苦慮するなかでゼロゼロ融資の返済が負担になっている。

このため、政府は返済開始にともなう資金繰りの破たんを防ぐため、「コロナ借換支援」などの各種資金繰り支援を6月まで実行。7月以降は、経営改善・再生支援に重点を置いた支援に移行し、信用保証協会では保証料の減免などを行っているが、根本的な業績改善にまでは結び付いていない。

同社は「すでに春以降、金融機関は貸し出し金利を引き上げ始めている。物価上昇や最低賃金引き上げなどのコストアップもあり、今後は価格転嫁がカギを握るが、中小企業は容易ではない。今後、金融機関の融資選別も見込まれる」として、再び倒産件数が増加する可能性もあるとしている。

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LOGISTICS TODAY編集部
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