調査・データ東京商工リサーチ(TSR)は9日、企業の間でコロナ禍によって膨らんだ過剰債務の解消に向けた動きが出ているとする調査結果を公表した。調査対象の企業のうち、中小企業を中心に、半数近くで借入金が減少した。一方で借入金の規模はコロナ禍前に比べて依然として高い水準にある。
同社が保有する企業の財務資料から3万2171社を抽出し、借入金の状況を分析した。それによると、47.3%の企業で借入金が前期に比べて減少する一方、借入金が増えた企業は26.5%だった。借入金が月商の何倍あるかを示す「借入金月商倍率」は5.45倍で、前期の5.57倍に比べ0.12か月分の微減にとどまった。
2020年以降、コロナ禍でゼロゼロ融資など資金繰り支援策が相次いで実施されたこともあり、2021年3月期決算では、借入金が増加した企業は43.7%と4割を超えた。
22年3月期以降は借入金を返済する企業が出始め、24年3月期もこの傾向が継続。借入金の減少を進めた企業が広がり、半数近くとなった。
企業の規模で見ると、借入金の減少は、資本金1億円以上の大企業が39.4%だったのに対し、資本金1億円未満の中小企業は49.3%で、中小企業が9.9ポイント上回った。一方、借入金が増加したのは、大企業が27.6%、中小企業は26.1%で、大企業が1.5ポイント上回った。
同社では、中小企業ではゼロゼロ融資などの借入金が進む一方、大企業ではコロナ禍が一巡したことで、業績拡大や新たな事業投資に向け、融資などで資金を調達しているとみている。
業種別で見ると、借入金の増加比率が最も高かったのは、農・林・漁・鉱業の32.9%で、不動産業の31.8%、製造業30.6%などが続いた。最も低かったのは、情報通信業の19.7%で、唯一の10%台だった。
運輸業では増加した企業が25.9%だったが、減少した企業の割合でみると、52.2%と半数を超え、全業種の中で最も高かった。
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