調査・データ東京商工リサーチ(TSR)は16日、5277社に対し「最低賃金1500円に関するアンケート」を行った結果を公表した。
ことし10月に全国の最低賃金が平均1055円に引き上げられ、さらに政府はこれまで2030年代半ばとしていた最低賃金1500円(時給)の目標を2020年代に前倒しした。最低賃金の全国加重平均額1055円から1500円を達成するには42.1%の引き上げが必要となるが、今回のアンケート調査でほぼ半数(48.4%、2558社)の企業が最低賃金の引き上げは「不可能」と回答した。
一方、「すでに時給1,500円以上を達成」している企業も15.1%(802社)あることがわかった。「可能」も36.3%(1917社)で合計51.5%(2719社)の企業は対応可能だった。規模別では「不可能」は大企業34.7%(420社中、146社)、中小企業49.6%(4857社中、2412社)で、中小企業が14.9ポイント上回った。
アンケート調査で「(実現は)不可能」と回答した企業にどうすれば実現できるか尋ねると、「低価格で受注する企業の市場からの退場促進」が31.6%(748社)を占めた。助成や税制優遇などの支援が拡充されない場合、「解雇規制の柔軟化」を求める回答も26.2%(621社)あった。また運輸業では「低価格で受注する企業の市場からの退場促進」が最大の53.5%(114社中61社)だった。
同社によると、最低賃金1500円に向けて中小企業から実現にかなり厳しい声が出ている。業績拡大のほか、収益強化が課題で、さらに税制拡充や投資への助成など、政策的なバックアップを求める声も多い。一方、「低価格で受注する企業の市場からの退場促進」など、正当な競争を求める声も上がっている。政策支援や生産性向上の自助努力が遅れると、最低賃金をトリガーにした企業経営の二極化が拡大する可能性もあると分析した。
■「より詳しい情報を知りたい」あるいは「続報を知りたい」場合、下の「もっと知りたい」ボタンを押してください。編集部にてボタンが押された数のみをカウントし、件数の多いものについてはさらに深掘り取材を実施したうえで、詳細記事の掲載を積極的に検討します。
※本記事の関連情報などをお持ちの場合、編集部直通の下記メールアドレスまでご一報いただければ幸いです。弊社では取材源の秘匿を徹底しています。LOGISTICS TODAY編集部
メール:support@logi-today.com