話題霞ヶ関キャピタルが、社会課題の解決に向き合い、他社に先駆けて開発してきた賃貸型冷凍冷蔵倉庫施設ブランド「LOGI FLAG COLD」(ロジフラッグコールド)は、その名の通り、コールドチェーンの課題解決を先導する業界の旗手として、低温物流市場をリードしている。
そのLOGI FLAG COLDの大阪での最初の竣工施設となるのが、「LOGI FLAG COLD 大阪茨木I」である。ロジスティクス営業本部リーシング事業部ヴァイスプレジデントの二見翔氏は、茨木市という場所を大阪の出発点としたことについて、「まず何よりも、エリアが古くからの物流の重要地として評価が高いこと。地場産業の工場や、物流拠点が多数集まり、京阪神の中間地点からエリア全域の物流を網羅する最適地が、この茨木市の名神高速道路周辺、特に国道171号線沿いである」と評価する。
施設は名神高速道路・茨木インターチェンジ(IC)から3.7キロ、国道171号線に面して立地し、京阪神の中心地から、関西の巨大消費圏を配送圏内に収める。また、新名神高速道路・中国自動車道など複数の広域幹線道路へのアクセスでの利便性も高く、さらにエリアを広げての広域配送や中継拠点としての活用にも最適な場所である。
「施設の1区画などではなく、施設1棟を冷凍冷蔵で使用できる賃貸施設は、近隣にもほとんどない。物流最適地で、私たちの得意とする領域での施設提供ができる」(二見氏)と語る。
冷凍冷蔵物流での課題に、ベンチャースピリットで取り組む
コロナ禍を経てのライフスタイルや、EC(電子商取引)拡大など配送の変化にともない、冷凍食品の需要拡大と、その受け皿となる冷凍冷蔵倉庫の不足が顕在化している。ロジスティクス営業本部リーシング事業部ヴァイスプレジデント米野涼氏は、「スーパーやコンビニの冷凍食品売り場面積も毎年右肩上がりで拡大しているので、冷凍食品需要の高まりを実感している方も多いのではないか」と言う。小売だけではなく、ミールキット配送など消費者の手元へ届くまでのルートも多様化しており、給食・介護事業、ふるさと納税も活性化するなど、コールドチェーンの市場規模の伸長に対応できる施設を求める声は、まだまだ大きい。
冷凍冷蔵倉庫は、一般倉庫に比べてテナントごとの個別性が要求されるなど難易度が高く、特殊仕様による建築費の高騰と賃料設定の高額化、建設期間の長期化で「使いたいときに使えない」など、賃貸不動産としてはリスクの高い案件であることが施設不足の一因である。大手デベロッパーも冷凍冷蔵倉庫の提供に二の足を踏むなか、その市場に果敢に挑戦することで開拓に成功したのが霞ヶ関キャピタルであったと言える。
賃貸利用できる冷凍冷蔵倉庫の不足を解決すべき物流課題と捉え、「大手にはできない取り組みとして、冷凍冷蔵倉庫開発に特化する差別化戦略を積極展開してきた」(二見氏)。同社が物流事業を立ち上げたのは2020年と、まだ日は浅いが、大手が躊躇(ちゅうちょ)する物流課題解決にあえて挑戦するベンチャースピリットこそが、同社の事業成長の推進力となっている。
賃貸型冷凍冷蔵倉庫のパイオニアだからこその知見が生きる開発力
霞ヶ関キャピタルは、賃貸型冷凍冷蔵倉庫開発の難題をどう克服していったのか。
テナントごとに求めるスペック要件が違うことは、マルチ型冷凍冷蔵倉庫開発のボトルネックとされていたが、同社は天井梁下高5.5メートル、1平方メートルあたりの床荷重1.5トンを「標準」とする供給実績を積み上げ、普及に努めてきた。従来の運用や倉庫スペックにこだわるユーザーにも、ニーズの最大公約数として標準スペックを活用することへの理解も広まっているという。また、ほかに先駆けて冷凍冷蔵倉庫建設のノウハウを積み上げてきたことで、ニーズに合わせたサイズ感や、エネルギー効率を考慮したフロア設定、区画分割などでの知見を蓄積したことが、建設コスト削減につながっている。
茨木Iの開発でも、こうした先行者のノウハウが生かされている。各階は、冷凍区画、冷蔵区画、冷凍帯からチルド帯まで柔軟に設定できるC&F区画を用意してテナントごとの用途に対応し、最大3テナントの入居が可能。巨大消費圏をターゲットにした物流・3PL事業者の運用を想定し、これまでの開発に比べて、やや大き目の延床面積2万9357平方メートル、縦4層の倉庫フロアを用意して、スケールの大きな運用や、物流事業者の冷凍冷蔵領域への新規事業参入にも対応する。
また、施設の老朽化やフロン規制への対応(もちろんLOGI FLAGは全棟自然冷媒採用)を急務とする古くからの冷凍物流事業者に、冷凍冷蔵倉庫の賃貸利用を促す施設ともいえるだろう。自社倉庫建設からの運用転換、あるいは自社倉庫完成までの拠点として、今必要な物流再編に対応できるのが、全国の開発エリアや供給施設数を拡大しているLOGI FLAGなのである。
他の追随を許さずもう一歩先へ、その先に見据えるビジョン
賃貸型冷凍冷蔵倉庫で業界の先陣を切り、他の大手デベロッパーとの差別化に成功した霞ヶ関キャピタル。「この領域では一歩リードしているとの自負があるからこそ、まさに今もう一歩先へ、次の取り組みで追いかけてくる他社との差別化を進める必要がある」と二見氏は語る。
その取り組みこそが、冷凍“自動”倉庫、「LOGI FLAG TECH」(ロジフラッグテック)の展開と、新たなサービス「COLD X NETWORK」(コールド・クロス・ネットワーク)の提供である。
9月に竣工したLOGI FLAG TECH 所沢I(埼玉県三芳町)は、パレット保管型の冷凍自動倉庫を採用し、省人化や効率化、作業者の労働環境改善など、自動化設備による各種の物流課題への解決策を提示する施設である。ことしだけで所沢に続いて青森県八戸市でもBTS型の冷凍自動倉庫を竣工した。今後着工(を予定)する開発プロジェクト8案件のうち7案件をこの冷凍自動倉庫とする計画で、まさに同社の今後の開発のスタンダードとしており、他社の追随を許さないスピードで次の展開へ加速している。
さらに、COLD X NETWORKは、この冷凍自動倉庫を活用した、パレット単位、1日単位での冷凍保管を実現するサービス。繁閑ごとの適切な保管スペースや、新規や緊急の冷凍保管対応など、ニーズに合わせた一時的な利用を可能とし、必要なスペースをあらかじめ確保するスペース確保型利用や、スポット単位で少量・短期間保管を従量課金制で使用するプランを用意する。大規模な初期投資を必要とせず、中小やスタートアップによる新規コールドチェーンへの参入を後押しする取り組みともなるだろう。さらに、スペース予約や入出荷依頼、在庫照会などはすべてウェブ上で完結し、メールやファクス、電話でやり取りする必要もない。「街のケーキ屋さんがシーズンに合わせて使える、そんな運用もイメージしている」(米野氏)と言うから、まさに冷凍冷蔵倉庫利用の常識を変える、大革新となるのではないだろうか。
グループ会社であるX NETWORK(クロスネットワーク、東京都千代田区)が、このサービス提供に向けてシステム開発を続けており、LOGI FLAG TECH 所沢Iでのサービス運用開始、さらに全国展開を目指す。将来的には(BTS型施設を除く)全国LOGI FLAGのデータ連携などで、冷凍冷蔵施設利用の利便性を高めた「冷凍物流プラットフォーム」の実現を見据えており、ベンチャースピリットを推進力とした「先手」を打つ計画だ。
この茨木に続いて関西では神戸と大阪南港に、さらに首都圏、名古屋、静岡県袋井市での延床面積8万3000平方メートルの大型開発など、今後予定される拠点ネットワークの全国展開と、COLD X NETWORKが結びついたとき、コールドチェーンのこれまでの常識も一変するかもしれない。
古くから低温物流に携わる事業者にも、これから新たに加わろうという事業者にも、コールドチェーン再編やビジネス創出を後押しする霞ヶ関キャピタル。誰もが使いやすいコールドチェーン市場を目指すその視線の先には、ただ保管スペース提供にとどまらない次の課題解決へのビジョンが見据えられている。
所在地:大阪府茨木市上郡2-9-2
敷地面積:1万4435平方メートル
延床面積:2万9357平方メートル
建物規模・構造:地上5階S造・耐火構造