調査・データ中小企業庁は11月29日、ことし9月の価格交渉促進月間に実施したフォローアップ調査の結果を公表した。
中小企業庁では、毎年3月と9月の価格交渉促進月間に合わせ、受注企業が、発注企業にどの程度価格交渉・価格転嫁できたかを把握するためのアンケート調査と下請Gメンによるヒアリングを実施。今回のアンケート配布先の企業数は30万社で、調査期間は、ことし9月25日から11月11日。回答企業数は5万1282社だった。
発注側企業から申し入れがあり、価格交渉が行われた割合は、前回から2ポイント増の28.3%。受注企業から申し入れて価格交渉が行われた58.1%と合計すると86.4%で交渉が行われた。ことし3月の時点では、価格交渉を行われた割合が85.2%であったことから、価格交渉が徐々に進展しつつある。価格交渉が行われなかった割合は低下しているが、「価格交渉を希望したが行われなかった」割合が、3月の10.3%から8.6%へと低下しており、理解も進んでいるとみられる。
コスト全体の価格転嫁率は49.7%で、コストの増額分を全額価格転嫁できた企業の割合が増加したものの、「転嫁できた企業」と「できない企業」とで二極化が明らかとなった。
価格交渉に応じられていない業種は、交渉の結果である価格転嫁率は低い傾向にあり、交渉と価格転嫁を点数化した業種別ランキングでは軒並み低い順位となっている。発注企業ごと価格交渉の実施状況ランキングでは、運輸・郵便(トラック運送除く、以下同)は全業種中11位、トラック運送は30位(最下位)だった。
また、転嫁率については、運輸・郵便が業種別で25位。コスト増に対する転嫁率が45.5%、要素別では原材料費が44.3%、エネルギーが41.6%、労務費が42.8%。トラック運送は最下位の30位で、コスト増に対する転嫁率が29.5%、原材料費が25.7%、エネルギー費が27.2%、労務費が26.9%だった。コスト増に対する転嫁率の平均が49.7%となっており、転嫁率1位の化学が61.9%と3分の2近くが転嫁できていることを鑑みると、まだまだ運送業界での価格転嫁が進んでいないことが見て取れる。
受注企業の業種ごとの集計では、コスト増に対する転嫁率は、運輸・郵便が18位の47.7%、トラック運送は29位の34.4%。業種全体の転嫁率は49.7%で、転嫁率が最も高い卸売は60.3%となり、こちらもあまり進んでいないといえる。
また、「価格交渉が行われたが全く転嫁できなかった企業の割合」は全業種で8.8%、もっとも割合が低い造船では3.3%だったが、運輸・郵便は24位の10.2%、トラック運送は28位の17.2%となっている。
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