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企業の私的整理は金融機関の調整が課題に、TSR

2025年2月18日 (火)

調査・データ東京商工リサーチ(TSR)は18日、事業再生ガイドラインや事業再生ADR、中小企業活性化協議会を活用した企業の私的整理に関する意識調査を公表した。私的整理に向けて調整したが成立しなかった企業には、金融機関との調整不調を理由に挙げる企業もあった。

政府は昨年6月、「事業再構築小委員会」を設置するなど、事業再構築法制の整備への議論を進めている。こうした動きをうけ、東京商工リサーチは今月3日から10日にかけ、「私的整理に関する企業アンケート」を実施した。有効回答は5752社だった。

事業再生ガイドラインや事業再生ADR、中小企業活性化協議会を活用した整理手続きを「準則型私的整理手続き」と呼び、基本的に金融債権者のみを債務カットなど権利変更の対象にしている。しかし、自動車部品大手のマレリホールディングス(さいたま市北区)の事業再生ADRでは、一部の金融機関が反対して成立せず、2022年6月に民事再生法(簡易再生)の適用を申請した。このように多数の金融債権者の権利や思惑が絡み合う場合、私的整理の成立が難しいことがある。

調査結果によると、私的整理の実施や検討など、具体的にアクションした企業は230社と全体の4%で、このうち13社(5.6%)が「調整したが成立しなかった」と回答した。「私的整理を検討中」の企業は103社、「私的整理を実施し完了した」は59社、「私的整理中」が55社だった。

成立しなかった企業に理由を尋ねたところ、「最国内金融機関(銀行・信金・信組)との調整不調」が4社、「法的整理に移行した」が2社だった。

また、全企業を対象に、この5年で融資を受ける金融機関数が増加したかどうか尋ねたとところ、「増加した」は988社(18.5%)、「変わらない」は3516社(66.1%)、「減少した」は815社(15.3%)だった。

リーマン・ショックやコロナ禍を経て過剰債務に苦しみ、事業再生局面にある企業は多く、同社は今後、私的整理では金融機関の調整が課題になると指摘している。

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LOGISTICS TODAY編集部
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