行政・団体公正取引委員会と中小企業庁は21日、「企業取引研究会報告書」に対する意見募集の結果を公表した。
両者は適切な価格転嫁をサプライチェーン全体で定着させていくための取引環境を整備する観点から、優越的地位の濫用規制の在り方について、下請代金支払遅延等防止法(下請法)を中心に検討することを目的として、24年7月以降「企業取引研究会」を開催し、議論を重ねてきた。
同会における議論を経て「企業取引研究会報告書」を取りまとめ、今回これに対する98件の意見を公表した。
意見の中では、下請事業者が適正な価格転嫁を実現するためには制度強化が必要だとする声が多く、特に大企業との取引慣行や現行の下請法の規制が実態に即していないとの指摘があった。一方で、市場原理を尊重し、制度的な価格転嫁の強制には慎重であるべきだとの意見も見られた。
中小企業や業界団体からは、賃上げや原材料・エネルギー価格の高騰に対応するため、より実効的な価格転嫁の仕組みが求められるとの意見が多く出された。ただし、単なる価格転嫁推進ではなく、経済全体の成長戦略と組み合わせた対策が必要だとの指摘もあった。一方、大企業側からは、価格転嫁の義務化によるコスト増加や、サプライチェーン全体のコスト管理に与える影響を懸念する声が上がった。また、価格交渉のプロセスに対する過度な規制が、実務負担の増大につながるとの指摘もあった。
法制度や規制の方向性については、現行の下請法では価格交渉が十分に機能しておらず、買いたたき規制を強化すべきとの主張があった。一方で、過度な規制は市場競争を阻害し、日本企業の競争力を低下させる可能性があるため、慎重に進めるべきだとする意見もあった。
また、取引環境の透明性向上を求める意見も多く、価格決定のプロセスを明確にするためのガイドラインや基準の策定が必要だとされた。特に、契約締結後の価格変動に対応するルールの整備を求める声が強かった。
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