荷主3月7、8日の2日間、早稲田大学早稲田キャンパスで開催された「グローバルCLOサミット」は、物流管理やサプライチェーン戦略の最新動向を探る場として企画された。昨年成立した流通業務総合効率化法が背景にあるなかで、国内でのCLO(物流統括管理者)の基本的な役割に対する関心が高まるなか、本イベントでは米国の先進事例で採用されているCSCO(最高サプライチェーン責任者)の概念を取り入れる形で、企業全体のサプライチェーン最適化に向けた新たな視点が提示された。

▲講師を務めたカリフォルニア大学サンディエゴ校のヘレン・ワン教授
2日間にわたって登壇したカリフォルニア大学サンディエゴ校のヘレン・ワン教授は、同大学での研究成果と、AppleやGoogleでのサプライチェーン構築の実績を背景に、従来の物流統括管理者としてのCLOの枠組みを尊重しつつ、企業全体の戦略の中核を担うCSCOとしての役割を解説した。教授は、単なる現場オペレーションの管理にとどまらず、グローバルな視点からサプライチェーン全体を統括することで、企業成長に直結する価値創造が可能となる点を、具体例を交えながら熱く語った。
この講義に対し、参加企業の多くが荷主企業として、自社のサプライチェーンに高い当事者意識と課題認識を持ち、熱心に教授の話に聴き入り、グループワークに取り組む姿が見られた。その様子は、CLOがサプライチェーンの最適化をリードしていく展開を想像させるものとなった。
また、両日にわたって実施されたインタラクティブなワークショップでは、事前に共有された各企業の具体的なサプライチェーン課題をもとに、参加者がチームに分かれてディスカッションを行った。
実務に根ざした現場の問題に対して、理論だけではなく実践的な解決策の模索が進められ、シグマクシスと早稲田大学グローバル生産・物流コラボレート研究所の協力のもと、各企業が抱える共通の課題に対する多角的なアプローチが提示された。ワークショップ終了後のネットワーキングの場では、普段接点の少ない異業種の物流担当者や経営者が情報交換を行い、今後の連携の可能性を広げる貴重な機会となった。
法改正に伴う国内のCLOに関する議論を踏まえつつ、米国の先進事例に基づくCSCOの戦略的視点を組み合わせることで、参加企業が自社の物流管理体制の再評価とサプライチェーン全体の最適化に向けた具体的施策の検討を進めるための実践的なフレームワークを構築する機会になったともいえよう。
講義、ワークショップ、ネットワーキング各セッションで得られた具体的な知見や事例は、各参加企業における現状分析と改善策の策定に直結しており、今後の物流戦略の見直し、実務改善に向けた基盤作りにも寄与しそうだ。
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