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泉海商運と日商が導いた事故ゼロへの方程式

現場発かトップダウンか、AIドラレコ導入の現実

2026年5月29日 (金)

イベント物流あるいは運送業界にとって、安全管理は企業の社会的責任を果たす上で、また企業の存続そのものを左右する最重要課題である。しかし、どれほど真剣に対策を講じても、事故が起きてから原因を追及し、再発防止策を練ってはまた同様の事象を繰り返してしまうという、事後対応の無限ループに頭を抱える企業は少なくない。

6月10日にLOGISTICS TODAYの主催で開催される「第一次事故ゼロ経営サミット2026」。その後半パネルディスカッション(15時から15時50分)では、最先端のAIドラレコ「Nauto」(ナウト)を導入し、劇的な意識改革を進める運送企業2社のキーマンが登壇し、予防安全のリアルを語り合う。

現場を司る運行管理者の視点から現場のジレンマを解消するために導入を突き動かした泉海商運業務部次長の伊藤氏と、人命を預かる経営者の覚悟として例外なきトップダウンで舵を切った日商の稲田社長である。アプローチの全く異なる2社が、導入の過程で直面した生々しい葛藤と、安全対策における不変の本質を語り尽くす。

2社の導入に至るアプローチは、それぞれ全く異なる視点から始まっている。

現場主導で導入を果たした泉海商運の伊藤氏は、四半世紀におよぶ運行管理経験の中で、事故が起きるたびに行う事後ヒアリングの限界に直面していた。事故を起こしたドライバーが自己防衛のために事実とは異なる証言をしてしまう現実から、「嘘をつかないのは画像だけである」と痛感。高額な導入コストや社内政治のハードルを乗り越え、重大事故を契機に全車導入へと導いた。

一方、日商の稲田社長が選択したのは強烈なリーダーシップによるトップダウンのアプローチであった。同氏は、事故が起きてから後悔と反省を繰り返す受け身の安全対策に終止符を打つべく、人命を預かる重い社会的責任から安全には一切妥協しないという強い姿勢を打ち出した。何かとできない理由を並べがちな現場の声を押し切り、例外を一切認めない形で一気に全車適用を推進している。

このように全く異なる道程を歩んだ2社であるが、導入の過程では同じ大きな壁に突き当たることになった。それは、ドライバーから巻き起こる「内向きカメラによる監視」に対する強い拒絶反応である。

多くの企業が最も導入を恐れるこの「インカメラの壁」を、両社は一体どのようにして乗り越え、現場に納得させたのだろうか。

サミット当日のパネルディスカッションでは、その生々しい実態が余すところなく明かされる。泉海商運は、懸念された大量の離職を、いかにしてわずか5人に抑えたのか。また日商は、反発を招きかねない監視の目を「ドライバー自らが意識向上に活用する仕組み」へと転換させたのか。ほかでは聞けない実践的なノウハウが披露される。

この2社の取り組みから見えてくるのは、「テクノロジーは手段であり、目的ではない」という普遍的なテーマである。安全は現場での教育、情熱、愛情、そして適切な機器の組み合わせという、複合的なアプローチの総和として初めて達成される。セッション内では、可視化された安全運行指標を将来的にどのような評価制度や報奨連動に結びつけていくかといった、一歩進んだ次世代の安全経営のあり方についても議論が繰り広げられる。

AIドラレコに興味はあるものの現場の反発を懸念して足踏みしている企業や、高額な投資に対して経営層をいかに説得すべきか悩んでいる運行管理担当者にとって、明日からすぐに実践に移せる具体的なヒントが手に入る貴重な50分間となるはずだ。

泉海商運、日商、登壇イベント情報

■登壇セッション概要
・日時:15時-15時50分(第二部)
・テーマ:「現場のリアル:データはいかにしてドライバーの行動を変えるか(仮)」

■登壇者
泉海商運 本社業務部 次長 伊藤巧氏
日商 社長 稲田一輝氏
ナウトジャパン 社長 赤井祐記氏

■モデレーター
日本事故防止推進機構理事長、上西一美氏

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LOGISTICS TODAY編集部