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【連載】トラボックス吉岡氏の大型免許取得奮闘記(第2回)

「大型免許を取る!」と大勢の前で豪語、退路を断つ

2025年4月16日 (水)

ロジスティクス銀行員から転身し、求荷求車マッチングサービス「トラボックス」の立ち上げに参画した、トラボックス取締役会長、吉岡泰一郎氏。創業以来、25年にわたって運送業と関わってきた吉岡氏が一念発起し、54歳にして大型免許の取得に挑戦。その顛末を吉岡氏自身の手記で紹介します。

本当に私は大型免許が取れるのか…?

2024年の秋は、運送会社の経営者と会う機会が特に多かった。そのたびに私は、「大型免許、持ってますか?」と聞いて回った。

ところが、実際に聞いてみると、意外にも免許を持っていない人のほうが多かった。持っていても、ハンドルを握っていないペーパードライバーだという人もいた。

そして次に、「実は自分も大型トラックの免許を取ろうかと思ってるんだけど、どう思いますか?」と聞くと、返ってくる答えは決まって100%同じだった。「取りなよ!」全員が、即答だった。なかには「費用もそんなに変わらないから、けん引も一緒に取っちゃえば?」とすすめてくる人までいた。

ここまで背中を押されたら、やらない理由が見つからない。私は大勢が参加する会合で「大型免許を取る!」と宣言し、退路を断った。勢いよく言い切ったものの、その場は酒の席。万一の時には酔っ払っていたことを口実に、「そんなことを話した記憶はない」と言える余地を残したのは、完全には退路を断ちきれていない弱い自分もいたのは確かである。

教習所理事を務める後輩にコンタクト

そんな迷いを残しながら私は、一人の後輩に電話をした。彼は自動車教習所の理事長を務めている。実は、私が高校生のときにバイク(中型)の免許を取り、後に普通車の免許も取得したのがその教習所だ。うちの娘も息子も、同じ教習所で学んだ。教習所では少しばかり顔が利き、融通も利く。何十年経っても、後輩は後輩である。

▲免許取得を申し込んだ際の領収書

私は彼に「大型トラックの免許、取れると思う?」と聞いてみた。すると彼は、開口一番「毎度ありがとうございます!」と軽く笑ったあと、「教習所を運営している会社の社長から連絡させます」と言ってくれた。その社長は、彼の従兄弟である。

ほどなくして、社長から電話がかかってきた。大型免許を取りたいという話をすると、都心にある5つの教習所のうち、大型免許が取れるのは秋津校だけだという。しかも、秋津校にある大型トラックは2台のみとのことだった。

料金は33万3850円。教習時間は20時間で、検定は2回。1日2時間ずつ教習を受けて、最短でも12日はかかるという。まずは秋津校の見学の予約をとってもらい、教習所の雰囲気を見た上で、本当に申し込むかどうかを決めることにした。

2024年10月31日、36年振りに自動車教習所に行く。所沢駅から送迎バスに乗る。

(後に、この日から卒業まで16回送迎バスを利用することになりますが、学生さんはもちろんのこと、赤ん坊連れの主婦の方や外国人を目にすることが多かったです。私が通学する時間帯も影響してると思いますが、ベビーカーの上げ下げをお手伝いしたのは、片手ではきかないほどでした。
また、ここにもドライバー不足が影響しているのか、通学中に1時間に3往復していた送迎バスが、新年になると2往復に減便されていました)

窓口の担当はYさん(20代男性)だった。社長の紹介ということも手伝ったのだろうが、とても人の良さそうな好青年で、親切に説明をしてくれた。

『教官を指名することもできますが、、、』と言われて『Yさんに、ずっとお願いすることもできますか。』と質問したほどだ。しかし、彼は乗用車の教官資格はあるものの、大型免許の教官ではなかった。

丁寧な説明と『(54歳でも)取れますよ!』の一言が背中を押し、申し込みを決めた。
申込書を記入したところで、思いがけず、最初の難関に出くわす。適正検査である。

◆大型免許の視力検査合格基準
両目で0.8以上かつ、片目がそれぞれ0.5以上。 さらに、深視力として三桿法(さんかんほう)の奥行知覚検査器により、3回検査した時の平均誤差2センチ以内が合格基準。

深視力が掴めない……
1回目。合格基準を満たさず、焦る。
Yさんから、「この機械、難しい方の機械なんです。実際に仮免の時や交通局での深視力の検査の機械の方が楽です」と、慰められる。

2回目。Yさんから『惜しい!』と言われる。
3回目。ようやく基準を満たした!

(直前の送迎バスの中まで、スマホで仕事をしていたのが悪かったと思い、仮免の朝はスマホを封印し、1回目で深視力検査は合格しました。もちろん、Yさんの説明通り、深視力の機械は入学時とは違いました)

そして、卒業までのスケジュールを作っていただく。私の免許更新期限が1ヶ月半後だったので、そのタイミングで同時に大型免許を取得できるように計画してくれた。

しかし、教習所社長の顔があっても、大型トラックは2台しかない。また、申し込みが多く、乗りたくても予約できる時間は少ない。それでも、なるべく2時限連続で乗車できるように配慮していただいた。

できあがったのは、1時間も落第できない卒検までのスケジュールである。

『最初の所内実習は1週間後です。』
この瞬間から緊張の日々が始まる。

<続く>

>>第3回「54歳、初めての大型トラック運転!」

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「運びと地位向上全国キャラバン2025」概要

▲トラボックス取締役会長、吉岡泰一郎氏

吉岡氏とLOGISTICS TODAYはトラックドライバーと運送業を支援する取り組み「運びと地位向上全国キャラバン2025」の第2回を、2025年4月22日(火)に東京・恵比寿で開催する。国内第1号となる特定技能ドライバー採用のアサヒロジスティクスが登壇し、外国人ドライバー採用の最新情報が紹介される。

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https://www.logi-today.com/758381