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物流課題対応、ランドポート横浜杉田全貌明らかに

2025年4月16日 (水)

拠点・施設野村不動産とIHIは16日、両社が共同で横浜市金沢区で開発した最新物流施設「Landport(ランドポート)横浜杉田」のプレオープニングイベントを開催し、同施設を報道陣に公開した。

▲Landport横浜杉田

Landport横浜杉田は、3月に完成、4月に満床で稼働したダブルランプウェイを備えた大規模高機能型物流施設。敷地面積は16万3409平方メートル、延床面積は7万1035平方メートルに及ぶ。

ロケーションは首都高速湾岸線・杉田インターチェンジ(IC)から680メートルと近接しており、都内や神奈川県内の巨大消費地へのアクセスに優れている。また、JR新杉田駅や京急本線・杉田駅から徒歩圏内であるとともに、屋上に乗用駐車場を計711台分用意して雇用確保を支援する。また、広場や屋上テラス、無人コンビニエンスストア、カフェテリアも設けられ、庫内作業者にとって快適な労働環境も整えられている。また、地上4階建て施設は免震構造を採用。特別高圧受電設備や非常用発電機を備えており、災害時にも事業継続が可能なBCP対策、庫内効率化のためのマテハン設置にも配慮された仕様となっている。

同施設の最大の特長は、「オープン・シェア型物流施設」のコンセプトで設計された点にある。施設内には共同利用できる最大4020パレットの保管が可能な立体自動倉庫を、施設3階と4階を貫く形で既設でビルトインした。導入に大きな投資リスクを伴う自動倉庫を、入居者がシェアリングで活用することが可能となっている。繁忙期のみの自動倉庫利用による運用コストの削減や、マテハン機器のレンタルサービスと合わせた運用など、自動化機器のスポット活用やシェアリング、共同利用などを促し、入居企業の初期投資負担を軽減した効率的な物流オペレーションを可能にしている。

物流の変革に伴って施設の大型化、汎用化が推し進められてきたが、現在はデジタル技術を基盤とした「共同化」へと移行し、さらに物流の装置産業化などのシステム化を加速させるべき局面を迎えていると指摘。物流危機や、デジタル化の導入停滞による「2025年の崖」問題などへ、物流施設から1つの解決策を提示するものとなっている。

▲Landport横浜杉田内に設置された自動倉庫

この日の発表会でも、流通経済研究所 農業・物流・地域部門 副部門長・主任研究員の田代英男氏が、「ポスト2024年問題に応え、真の地域連携から社会を変えるLandport横浜杉田の真価」をテーマに講演。物流の現状と課題を確認するとともに、ポスト24年で物流拠点が果たすべき役割などが解説され、Landport横浜杉田の取り組みを評価した。

また、「オープン・シェア」思想が、地域共創にも生かされていることもこの施設の大きな特長である。施設や地域の人々がつながる地域開放型の広場LandHOOP(ランドフープ)の設置や金沢区との防災協定だけではなく、地域の歴史や土地の背景を理解し、積極的に地域に入り込んだ共創を生み出すことで真の地域連携を目指すという。もともと開発地はIHIグループにとってゆかりの地であること。また野村不動産にとっては地域に寄り添った施設開発を目指して、ともすれば嫌悪施設となりがちな物流施設を、地域の接点、地域雇用創出の場にして「物流施設を単なる配送・保管拠点ではなく、地域インフラとして再定義する」という。

杉田地区と結びつきの深い希少な日本古来の梅「杉田梅」が、敷地内の広場に植えられ、地域と施設をつなぐ象徴となる。「真の地域連携」への思いを歴史的樹木の継承・復興に託して、施設だけではなく、テナント企業にとっても地域への貢献やつながり、理解を生むオープン・シェアで、真の地域連携を目指す姿勢を明らかにした。

▲敷地内に植えられた杉田梅

なお、Landport横浜杉田の正式なオープニング・イベントは18日に開催。杉田梅の植樹式のほか、施設見学ツアーや消防車両、警察車両の乗車体験、キッチンカーなども登場し、地域との交流を深め、ポスト24年問題対応型物件の代表格としての認知を広めていく。

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LOGISTICS TODAY編集部
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