ロジスティクス日本郵便に対する貨物自動車運送事業許可取り消し方針を受け、物流業界では影響の範囲と対応策について関心が高まっている。
本誌の取材に対し、東北で郵便配送を行う事業者は、匿名を条件に「事業許可取り消しについては事前に日本郵便からアナウンスがあった」と明かした。また、「すでに2500台の車両が使えなくなることを前提に振り替え輸送がスタートした。増便を行っているため、売り上げが上がっている」という。
また、静岡県の運送事業者は「現在のところは影響は出ていない。増便の要請があれば、受けられる分は受け、キャパシティをオーバーする分については外部に委託するなどの対応が必要になるだろう」と語った。
長距離幹線輸送を手がけるフジホールディングス執行役員の川上泰生氏は本誌の取材に対し、「地域配送業務への影響が深刻になる」との見解を示した。同氏によると、同社は日本郵便輸送から長距離トラック幹線業務の一部を受託しているが、全体の1割を切る程度で、今回の許可取り消しが同社の幹線輸送に与える直接的影響は限定的との認識を示した。
一方で、川上氏は今回の措置で最も影響を受けるのは「地域の郵便局間の配送業務、地域郵便局からそれぞれの地方郵便局への配送業務、そして個人宅への配送業務ではないか」と指摘。トラックなど2500台を対象とした許可取り消しにより、配送網に深刻な支障が生じる可能性があるとの見方を示した。
川上氏は「大型の通常幹線運送にはそれほど影響がないのか、これから日本郵便輸送より情報が来て業務が多くなるかはまだわからない」と述べ、日本郵便が代替輸送手段として子会社、協力会社への委託拡大を進める中で、自社への業務発注がどの程度増加するかは現時点では予測困難だとした。
配送業界に詳しいラストワンマイル協同組合の塚原淳専務理事は、許可取り消しの動きについて、軽貨物配送に大きな影響が生じるとの懸念を示した。
塚原氏には、「取り消しについてはまだ確定情報ではなく情報も少ない」とした上で、2500台の配送車両の代替確保は非常に困難で、そのしわ寄せによってゆうパックの配送遅延が相当規模で発生する可能性があるという。「十分な配送車が準備できない状況になるだろう」と懸念している。
代替手段として軽貨物の応援車両による増車依頼が多数寄せられることが予想されるが、「多くの業者を入れて対応することも難しいのではないか」と指摘する。その理由として、法令上の管理が行き届かなくなる可能性を挙げ、結果的に荷物の滞留が発生するとの見方を示した。
特に懸念されるのは、これから迎える「お中元」シーズンへの影響だ。通常時より荷物量が増加する時期と重なることで、「届かなくなる懸念があり、直近ではこれが一番大きな問題」と塚原氏は強調している。
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