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佐川急便、ユニフォームの完全循環型リサイクル実証

2025年6月9日 (月)

調査・データ佐川急便は9日、使用済みユニフォームを新たなユニフォームへ再生する「資源循環スキーム」のトライアル運用を開始したと発表した。同社はミズノ、帝人フロンティアと協力し、物流業界で先駆的な完全循環型リサイクルのモデル実証に着手する。

同社はこれまで、ペットボトルを原料とした再生ポリエステル製ユニフォームの導入を進めた。使用済みユニフォームを製鉄所のリサイクル燃料として活用し、廃棄物削減と資源の有効利用を追求してきた。今後は循環型リサイクル素材を用いたユニフォームの開発も進める。

ミズノは2008年に広域認定制度を取得し、高機能でリサイクルしやすい製品設計技術を蓄積してきた。同社はワークビジネス事業で多くの使用済みユニフォームを回収し、マテリアルリサイクルによる再利用を実現している。今後はケミカルリサイクルによる再資源化を目指す。帝人フロンティアは1995年からリサイクルポリエステル繊維「ECOPET」の販売を始めた。多様なケミカルリサイクル技術を開発。衣料品循環のため使用済みポリエステル繊維製品を回収し、ケミカルリサイクルにより再び繊維製品とするシステムを構築している。

▲循環型リサイクルのイメージ図(クリックで拡大、出所:佐川急便)

今回のスキームにおいて、佐川急便は環境配慮型ユニフォーム仕様への変更と、使用済みポロシャツユニフォームの安定供給方法の検討を進め、着用状況、着心地、機能性に関するフィードバックを収集する。ミズノは副資材を含む100パーセントポリエステル製を設計し、リサイクル素材の活用、機能性の向上、回収効率の改善に取り組む。帝人フロンティアは回収ユニフォームのケミカルリサイクルによるポリエステル原料への再資源化、効率的な繊維to繊維システムの検討、リサイクル素材を活用した高機能素材の開発を進める。このトライアル運用では実効性、品質、安全性の確認を重視し、現場での着用試験や運用検証を実施する。

欧州では2020年以降、アパレルの売れ残り商品の廃棄を禁止し、再利用、リサイクルまたは寄付を義務付けている。日本国内では22年時点で年間48万5000トンの衣類が廃棄されている。経済産業省は繊維製品再資源化の仕組み作りを急いでいる。このような状況下で3社はユニフォームを通じた資源循環モデルを構築し、物流現場への展開とサステナブルな社会への貢献を目指す。佐川急便は今後も循環型社会の形成に向けて先進的な取り組みを継続していく方針だ。

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LOGISTICS TODAY編集部
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