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鴻池運輸、インド売上300億円へ成長投資

2026年6月15日 (月)

ロジスティクス鴻池運輸は、2026年度インド事業説明会で、インドを中期経営計画2027における海外事業拡大の重点地域と位置付け、31年3月期にインド売上高300億円を目指す方針を示した。26年3月期のインド売上高は155億円で、28年3月期には210億円超を計画する。鉄道輸送事業と鉄鋼事業を柱に、メディカル、都市ガス、エンジニアリングなどの事業拡大を進める。

同社はインドについて、世界第1位の人口を持ち、2030年代には世界第3位の経済大国になる見通しと説明。粗鋼生産量はすでに日本の2倍に達し、自動車生産台数も世界第4位に位置するなど、同社の事業と親和性の高い市場が拡大しているとみる。日本で培った請負、物流、エンジニアリング・メンテナンスのビジネスモデルを、現地パートナーとの合弁や買収を通じて移植し、成長市場で収益力を高める戦略だ。

インド進出は07年のフィージビリティースタディーに始まり、08年にニューデリー駐在員事務所を開設。12年にKonoike Asia(India)を設立し、13年には医療関連データベース事業のCarna Medical Databaseを設立した。16年には現地企業と合弁でJoshi Konoike Transport & Infrastructure(JKTI)を立ち上げ、鉄道コンテナ輸送と自動車完成車鉄道輸送に参入。2024年には統括会社Konoike Indiaを発足させ、2025年には国営企業の民営化入札を通じてFSNLを取得し、鉄鋼スラグ・スクラップ処理事業に乗り出した。

鉄道輸送事業では、JKTIが鉄道コンテナ輸送と自動車完成車鉄道輸送を展開する。コンテナ輸送では自社貨車13編成を保有し、1編成45両で最大180TEUを輸送できる。主なルートはムンドラ、ピパバブ、JNPT(ジャワハルラール・ネルー港)などインド西岸主要港とデリー近郊の内陸コンテナデポ・ファリダバッドを結ぶ区間で、平均1300キロの長距離輸送を担う。貨物専用鉄道DFCの整備により、定期・大量輸送ではトレーラー輸送に対する優位性が高まっているという。今後は輸出入貨物に加え、内国貨物の往復輸送を取り込み、空コンテナの自社調達も進める。

自動車完成車輸送では自社貨車8編成を保有し、1編成27両で270-300台の自動車を輸送できる。北部デリー、南部チェンナイ、西部グジャラート、プネなどを結ぶルートを持ち、日系、外資系、地場系メーカーに対応する。自社カーキャリア45台も保有し、工場から鉄道駅、到着駅からディーラーやストックヤードまでを含む一貫輸送を提供する。所得水準の向上に伴い、自動車需要が二輪から四輪、小型から大型へ移るなか、大型乗用車に対応した背高貨車の調達を進める。鉄道輸送事業は31年3月期に売上高140億円、営業利益率8-10%を目指す。

鉄鋼事業では、25年1月に国営企業だったFSNLを買収。FSNLは1979年設立で、チャッティースガル州ビライに本拠を置き、従業員は2500人。国営製鉄会社SAIL、RINL、NMDCの製鉄所など8拠点で、高炉スラグ、製鋼スラグの破砕・整粒・地金回収、スクラップの回収・選別・切断などを行う。製鉄過程で発生する副産物や端材を再資源化する事業で、鉄鋼サプライチェーンにおける資源循環を担う。

FSNLは買収後、事務のIT化や月次決算体制の整備、現場への設備投資を進め、26年3月期は当初計画を上回った。一方、国営製鉄所向け業務は入札に伴う単価低下リスクがあり、27年3月期は転換期と位置付ける。今後は民間製鉄所への展開、鉱山での鉄鉱石や石炭の選別・破砕・運搬といった新規事業、既存国営顧客への深耕を3本柱とし、国営製鉄所依存からの脱却を図る。インド政府は30年に粗鋼生産量3億トンを掲げており、同社は民間製鉄所の増産や新設需要を取り込む考えだ。

メディカル事業では、Carna Medical DatabaseとSPD India Healthcareを展開。Carnaはインドの医療機器、病院、医師に関するデータベースを整備し、日本企業のインド進出に向けた市場調査、病院・専門家へのヒアリング、サンプリング、展示会支援、医療機器・食品の卸売販売を行う。SPD Indiaはデリー近郊で院外滅菌センターを運営し、200病院と契約。病院内設備を最小限にし、院外滅菌センターと組み合わせるハブ&スポークモデルを検証しており、30年までにデリー、ムンバイ、コルカタ、ベンガルール、チェンナイの主要5都市への展開を目指す。

都市ガス・エンジニアリング分野では、24年10月に大阪ガス、住友商事、JOINと組む日系コンソーシアムの一員として、インドの都市ガス会社Think Gasに出資した。インドの都市ガス事業は、落札事業者が一定地域で排他的な販売権やインフラ占有権を得る一方、パイプライン敷設やCNGステーション整備などの義務を負う。収益の7割は交通用需要が占める。鴻池運輸は大阪ガスとの国内でのガス基地運営、LNG・産業ガス輸送、ガス機器物流、設備保全の経験を生かし、燃料転換工事や周辺設備メンテナンス、CNGカスケード輸送などの需要を取り込む。

また、26年1月にはベンガルールのVertex Konoike Engineersに出資し、インドでのエンジニアリング機能を強化した。Vertexは配管・設備据え付け、設計から試運転までの一貫対応を強みとし、都市ガス向け配管工事、製鉄現場での設備工事、既存エンジニアリング事業との相乗効果を見込む。

説明会の質疑では、インド事業の成長に向けた課題も示された。メディカルでは滅菌業務を外注する慣習がまだ根付いておらず、病院への認知浸透に時間を要する。鉄道輸送では需要の大きい路線で貨車稼働率を高めることが課題となる。鉄鋼では国営製鉄所向け既存業務の入札による単価低下が懸念され、既存収益の維持と新規領域の開拓を並行して進める必要がある。都市ガスでは、工場のエネルギーが石油由来中心であるなか、環境政策の浸透がガス活用拡大の前提となる。

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