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東芝、年250トン処理のCO2電解装置実証運転完了

2025年6月25日 (水)

調査・データ東芝と東芝エネルギーシステムズ(東芝ESS、川崎市幸区)は24日、年間250トンのCO2を電気分解し、150トンの一酸化炭素(CO)を生成するCO2電解装置「C2One」の実証運転を完了したと発表した。実証運転によって、社会実装に向けて必要となるデータを取得したとして、同社は早期の実用化を進めるとともに、大型化に向けた技術開発にも取り組む。

▲浜川崎工場に設置したC2One(出所:東芝)

CO2削減に向けて、世界でさまざまな取り組みが進められているが、工場などから排出されるCO2を資源化するP2C(Power to Chemicals)は有力な技術として期待されている。P2Cのうち、CO2を分離回収する技術と、COと水素を反応させるFT合成技術はすでに実用化されているが、CO2をCOに還元する技術はまだ確立されておらず、各国で実用化に向けた取り組みが進められている。東芝でもC2Oneのプロトタイプ機を開発し、昨年11月から東芝ESSの浜川崎工場(川崎市川崎区)で実証運転を続けてきた。

東芝は、人工光合成技術を用いて、常温常圧に近い条件では水に溶けにくいCO2を気体状態のままCOへ直接電解できる三相界面制御触媒技術を開発し、2019年には世界最高レベルの変換速度でCO2からCOを生成することに成功した。

一般的なCO2還元技術では、還元材料に大量の水素を用い、850度度の高温条件が必要となるため、CO生成が難しく、生成コストも高かった。それに対し、東芝のCO2電解技術では100度未満で低圧(0.2メガパスカルMPa)という条件下での反応が可能で、水素も不要となる。

さらにCO2電解装置の中核部品となるセルスタックは、東芝ESSがこれまで製造してきた純水素燃料電池システム向けのスタックと構造が似ており、既存の製造技術と製造ラインの一部を活用できる。

実証運転では、安全性やCOの生成量のほか、需要に応じて運転への負荷が変動しても対応できるかなどの点を確認。電解装置の実用化に向けて、多くのデータが得られたという。年間150トンのCOを生成できれば、1日1バレル相当のSAF(持続可能な航空燃料)の製造に利用できる。

実証運転は、環境省から委託を受けた「二酸化炭素の資源化を通じた炭素循環社会モデル構築促進事業(人工光合成技術を用いた電解による地域のCO2資源化検討事業)」の一環として行われた。

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LOGISTICS TODAY編集部
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