ピックアップテーマ
 
テーマ一覧
 
スペシャルコンテンツ一覧

多重下請検討会、「利用運送のあり方を見直すべき」

2025年7月2日 (水)

行政・団体トラック運送事業の多重取引構造の実態把握や是正に必要な対策などを議論してきた「トラック運送業における多重下請構造検討会」(2024年8月発足)の取りまとめ案がこのほど公表された。ことし6月上旬に「トラック適正化2法」(「貨物自動車運送事業法の一部を改正する法律」および「貨物自動車運送事業の適正化のための体制の整備等の推進に関する法律」)が成立し、トラック運送の再委託は2回以内に制限する努力義務が課せられるが、同検討会では、それをゴールとせず、新法施行後も引き続き多重取引構造の改善状況を注視し、利用運送の適正化などさらなる措置の導入を検討していくべきだと指摘した。

取りまとめ案では、トラック運送の多段階取引の実態について、トラック運送事業者か利用運送事業者かを問わず、荷主と実運送事業者の間に介在する全ての者によって手数料の中抜きが繰り返されていることを問題視。そのうえで、現状の事業法上の整理にとらわれず、実際に行っている行為や担っている運送責任の重さに応じて、事業者の法令上のカテゴリーを再整理する必要があると言及した。さらに、運送契約を締結せずに仲介・取次のみを行う利用運送事業者の存在が実運送事業者による適正な運賃収受の妨げになっている状況を踏まえ、利用運送に何らかの規制を設けることを検討すべきだとした。

トラック運送事業の多段階構造を助長してきたとされる求荷求車サービスなどのマッチングサービスに対しては、受注者による一定以上の再委託の禁止、不当に低い運賃での契約を防止するためのルール整備、利用者のスクリーニング・評価・与信管理の実施、ルールを逸脱した利用者の是正や排除などを求めた。

利用運送事業者の中には、単に案件をほかのトラック運送事業者に委託し、その内容や付加価値にかかわらず一定の割合で手数料相当額を収受している事業者も存在する。現行法では、いわゆる“ピンハネ”目的の事業者と、そうでない事業者が「利用運送事業者」として一括りとなっており、その見極めは容易ではない。同検討会での示唆を受けて、トラック運送業界では今後、両者を明確に区別できるようにするための新たな利用運送形態(例えば、第三種貨物利用運送事業など)の創設に向けた議論が展開される可能性がありそうだ。

「トラック新法」成立、運送業界に新たな規律

■「より詳しい情報を知りたい」あるいは「続報を知りたい」場合、下の「もっと知りたい」ボタンを押してください。編集部にてボタンが押された数のみをカウントし、件数の多いものについてはさらに深掘り取材を実施したうえで、詳細記事の掲載を積極的に検討します。

※本記事の関連情報などをお持ちの場合、編集部直通の下記メールアドレスまでご一報いただければ幸いです。弊社では取材源の秘匿を徹底しています。

LOGISTICS TODAY編集部
メール:support@logi-today.com

<LTニュースメール会員登録のご案内>

LOGISTICS TODAYでは、メール会員向けに、朝刊(平日7時)・夕刊(16時)のニュースメールを配信しています。業界の最新動向に加え、物流に関わる方に役立つイベントや注目のサービス情報もお届けします。

ご登録は無料です。確かな情報を、日々の業務にぜひお役立てください。