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仕分け現場の最適解として導き出されたGAS(Gate Assort System)

タクテック、withGASで目指す仕分け革新

2025年8月26日 (火)

話題「仕分け工程は物流作業の中核であり、その最適化を検証することが物流の構造を見極める基盤」と、タクテックの山崎整社長は語る。

物流における仕分け工程は、出荷精度と処理速度の両立が求められる極めて重要な工程である。とりわけEC(電子商取引)需要の拡大により、物流センターは多頻度小口化する荷扱いに対応せざるを得ず、これまで以上に迅速な作業の効率化と正確性の両輪を追求する必要に迫られている。しかし、安易に「完全自動化」へ移行するのではなく、現場に応じた最適な現場オペレーションを組み立て、それに合致したソリューションの選定こそが、実現すべき本質である。

物流現場は、前後工程がスムーズに機能し、連携しているかが生産性向上を左右する。人手を含めた従来型の運用からの効率化を検証するならば、仕分け工程と緊密に連携するピッキング工程も含めた現場運用全体の再点検が必要だ。

ピッキング工程で代表的なオーダーピッキングは、1件ずつピッキングしていく方式で、作業者にも理解しやすく簡単に導入できる。その反面、保管場所までの移動の繰り返しや、商品を探すのに時間を取られてしまう。紙のオーダーリストで作業しているような現場では、さらに非効率となり、作業のスピードアップ、処理数の拡大に対応できない。

タクテック山崎社長

▲タクテック 山崎整社長

こうした運用から、データを基盤にした管理と運用へ転換することで、デジタル化の最初の一歩とする事業者も多い。WMS(倉庫管理システム)導入に伴い、ピッキング・仕分け効率化にハンディターミナル(HHT)を併用するのは、紙リスト運用からの大きな前進だ。しかし、山崎氏はHHT運用で、これまでと違う効率性を享受するあまり、これまでからの運用改善でとどまり、既存フローに埋没して「抜本的な見直し」ができなくなるケースも見受けられるという。対症療法的な改善に終わり、現場構造と仕分け工程そのものを改めて設計する視点が欠けているような改変が、かえって抜本的な改革の足枷となってしまう。

山崎氏は、「物流構造全体をマテリアルフロー図などで可視化し、生産性や正確性、ROI(投資回収率)の観点から複数の方式を比較検討することこそ、現場見直しの出発点としなくてはならない」と語る。

仕分け現場を革新するGAS(Gate Assort System)

仕分け現場の効率化に向けて、市場には多様な仕分け方式が存在する。紙ベースのアナログ運用からHHT、ランプやディスプレイによる指示運用、DAS(Digital Assort System)や、GAS(Gate Assort System)といった人手ありの方式、さらにはスライドシュー型やチルトトレー式の自動仕分け機、t‑sortに代表される仕分けロボット、多段式オムニソーターまで、人や機械の介在度に応じて選択肢が体系化されている。その中で、ただ人が介在する方式にとどまるのではなく、かつ、誤投入や検品プロセスの簡略化が可能な先進的な方式として注目されているのがGASである。山崎氏は、GASこそが“今”の仕分け現場を大きく変え、“未来”の革新のために検証すべきソリューションだと強調する。

仕分けマテハンによる完全自動化は一見合理的に見えるが、物流現場の変動性とコスト構造を鑑みると万能とはいえない。例えばソーターなどの大型設備は、小規模稼働や物量変動の状況下では固定費が重荷となり、低い稼働率でも高コスト維持を余儀なくされる。一方で投資リードタイムの長さや改造や拡張の煩雑さも、変化する物流ニーズに即応する柔軟性を阻害する要因となる。したがって、完全自動化は導入効果の面だけではなく、現場ごとの事情に応じた適応力や費用対効果を重視すべきである。

こうした課題意識のもとで、山崎氏はあえて人が介在するGASを主軸に置いたソリューションを提案している。GASは各仕分け間口にゲートを設け、商品バーコードのスキャンによって該当間口だけが開く仕組みであり、物理的に誤投入を防止し、検品を不要にするという画期的な発想である。人の“つもり”によるミスを前提に、ゲートで誤投入を排除するデザイン論理に基づくため、ミスを極限まで低減することが可能である。DASなどは、アナログ作業からの次のステップアップに相応しいツールだが、人の誤作業を防止する機能はない。DASの後工程には必ず検品工程が必要となるが、GASとの大きな差となる。

▲GAS(Gate Assort System)

GASは純粋な機械式自動化ではないが、その“人が介在しながらも検品レス”というユニークな立ち位置にこそ優位性がある。自動化仕分けマテハンのスピードと正確性、人による作業ツールの柔軟性と導入しやすさというそれぞれのメリットを、バランスよく兼ね備えたのがGASといえるだろう。マテハン設備では対応困難な種々の商品形態や頻繁に変わる業務ロジックにも柔軟に対応できるため、特にEC領域や多品種少量出荷において、有効な選択肢となる。また、GASは仕分け工程と検品・仕分け完結力を高度に統合しており、現場の即戦力としてすぐに最前線に投入できるソリューションである。

しかも、GASは高い生産性と省スペースという特長を併せ持つ。1人時あたり800-1200ピースという高い仕分け処理能力を実現し、ソーターのような大型設備に比べて設置面積や導入コストを大幅に抑制することができる。さらに、アンカーボルトレスであるため増設・移設も迅速かつ柔軟に実施でき、変動する物流環境にも応じたスケール展開が可能だ。

山崎氏は、「人力による仕分けシステムながら、人のミスを排除し、より幅広い商品や運用に対応できる柔軟性にも優れている」ことこそGASに強みだと語る。中小はじめ、現場効率化にこれから取り組もうとする事業者、次の一歩を踏み出そうとする事業者が採用できる現実的な選択として、タクテックが新コンセプト「with GAS」を掲げる理由もそこにある。長く「物流業界における唯一無二の駆け込み寺」を標榜して、現場の困りごとに寄り添ってきた同社ならではの主張だけに、説得力があるのではないか。

さらに、山崎氏は「With GAS」構想のもと、GASを中核に他社パッキングシステムや自動ラベル貼付機、GTP(Goods to Person)設備などとの柔軟な組み合わせを提案し、現場ごとの課題に対応した最適解づくりを進めている。このようなエンジニアリング姿勢と、顧客に寄り添い議論するプロセスが、仕分けの現実に即した価値提供の根幹となっている。

仕分けの未来を展望すると、AIやロボティクス技術の進化による完全無人化、極限までスピードにこだわるような提案も出てくるだろう。肝心なのは、それが自社現場でどう機能するかを見極めること。むしろ当面は、物量変動や品種多様性の中で柔軟かつ高精度な現場対応が可能な“人介在型の高度な自動化システム”、すなわちGASのような仕組みこそ正解とする現場も多いはずだ。タクテックはその現場ニーズを深く理解し、「GAS+他技術」の組み合わせで、顧客の物流競争力を高める支援を続けていく。

▲タクテックが展開するソリューション(クリックで拡大)

仕分け競合4社討議で、それぞれの「最適化」明らかに

タクテックはこうしたGASの特長を現場に展開するだけではなく、セミナーや討論イベントなどを通じて、仕分けの最適化プロセスそのものを促進している。”SHI・WA・KE25”と銘打ったシリーズ企画では、仕分けに特化した討論に参加し、GASと他方式の違いや導入上の判断軸を専門家が議論するなど、より実運用に即した知見を共有できる。6月26日にオンライン開催された第1回開催を皮切りに、今後も全3回にわたって議論を深め、8月29日に開催される第2回では、仕分けツールでタクテックと競合するマテハンベンダー3社も加わって、仕分け工程の最適解、失敗しないソリューション選びが議論される予定だ。

第2回「「SHI・WA・KE25」物流倉庫の生産性向上!マテハン最新技術を徹底比較

開催日時:2025年8月29日(金)13時〜14時30分(時間は予定)
視聴形式:オンライン配信(YouTubeライブ)
※ライブ配信に参加が難しい場合は、イベント終了後より期間限定のアーカイブ配信がございます。
参  加:無料
定  員:100人 → 満席につき200人に増枠
申込期限:2025年8月28日(木)16時

登壇者:
山崎 整 氏|タクテック 社長
桑尾 洸平 氏|椿本チエイン マテハン事業部 営業統括 第一営業部 営業2課長
田口 智士 氏|プラスオートメーション 営業統括本部 アカウントセールス部 ゼネラルマネージャー
渡邊 博美 氏|ブリッジタウン・エンジニアリング 社長
<モデレーター>赤澤 裕介|LOGISTICS TODAY 社長兼編集長

<主催>
「物流倉庫の生産性向上!マテハン最新技術を徹底比較」実行委員会(タクテック、椿本チエイン、プラスオートメーション、ブリッジタウン・エンジニアリング、LOGISTICS TODAY)

【イベント詳細・参加申込みはこちら】
https://www.logi-today.com/818134#entry

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