荷主三菱ふそうトラック・バス(川崎市中原区)は29日、「Japan Mobility Show 2025」のプレス向け内覧会で、水素を動力とする2種類の大型トラックを世界初公開した。同社のカール・デッペン社長は「カーボンニュートラル輸送に“単一解”はない。多様な技術を並行して評価し、顧客と社会に最適なソリューションを提供する」と述べ、燃焼式と燃料電池式の2方式による開発方針を示した。
同社ブースのテーマは「Future Together」。デッペン社長は「顧客、ドライバー、社会とともに未来を創る」と述べ、既存の電動小型トラック「eキャンター」に加え、新しいデジタルソリューション「COBODI」(コボディ)を世界初披露した。「COBODI」は、積載効率や配送ルートを自動最適化するスマート車体システムで、積み降ろし時間の短縮とドライバー負担の軽減を図るという。積み込みの際には配送順に専用ラックに荷物を積みつけ、配送先ではドライバーがタブレットを操作すると荷室横の窓から必要な荷物を取り出すことができるというもの。

▲コボディの荷室の左右には3つの窓が設けられており、荷室に乗り込まなくても荷物の取り出しが可能

▲コボディに搭載するラック。こちら側と反対側に昇降式の棚が設置され、下の棚が空くと上の棚が降りてくる仕組み
今回公開された水素トラックは、H2ICE(水素エンジン)とH2FC(液体水素搭載燃料電池)の2モデル。H2ICEは水素燃焼エンジンを搭載した重量車で、航続距離は700キロ。既存のディーゼルエンジンをベースに80%の部品を共用できる点が特徴で、低コストかつスムーズな水素移行を可能にする。「実績ある技術を生かすことで、業界全体の水素化をより早く、現実的に進められる」とデッペン社長は説明した。
一方のH2FCは燃料電池システムを採用し、航続距離は最大1200キロ。15分での急速補給を実現するほか、積載スペースを損なわないコンパクト設計とした。休息補給を可能としているのは、圧縮水素ではなくサブクール液化水素(sLH2)を採用しているため。

▲水素を利用する2タイプの新車両をお披露目する同社のカール・デッペン社長
これにより水素輸送コストを大幅に削減でき、補給インフラ投資額を最大で半減させる見込みだ。デッペン社長は「液化水素技術はダイムラートラックとGTエンジニアリングが共同開発したオープンISO規格であり、誰でも採用可能だ」と述べ、日本では岩谷産業と連携して導入検討を進めていることを明らかにした。
「水素価格は現状ではディーゼルより高いが、液化水素の採用でステーション数を減らし、運用効率を高められる。これが現実的な長距離輸送の選択肢になる」と同氏は強調した。
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