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国内企業の後継者不在率は50.1%、7年連続で改善

2025年11月21日 (金)

▲後継者不在率推移(クリックで拡大、出所:帝国データバンク)

調査・データ帝国データバンク(TDB、東京都港区)は21日、日本企業の後継者不在率は50.1%で、前年から2.0ポイント低下したとするレポートを公表した。7年連続の改善で、官民による相談窓口の設置や支援メニューの拡充が改善に寄与したとしている。

同社は、自社のデータベースを基に、2023年10月からことし10月までの間で事業承継の実態を分析可能な27万社について、後継者の決定状況と事業承継について分析を行った。同様の調査は昨年11月に続き通算12回目となる。

全国の全業種27万社を対象に、後継者の動向を調査した結果、後継者が「いない」、または「未定」の企業は13万8000社で全体の50.1%を占めた。前年調査から2.0ポイント低下し、16年調査以降の過去10年間では、最高だった17年の66.5%に比べると16.4ポイント下がった。

これについて同社は「事業承継に関する官民の相談窓口が全国に普及し、プル・プッシュ型の各種支援メニューも拡充されたことで、従前は支援対象として手が届きにくかった小規模事業者にも門戸が広がった。自治体や民間のM&A仲介事業者、地域金融機関による事業承継への取り組み効果も加わって、事業承継の重要性が広く浸透したことが、後継者不在率の改善につながった」などと分析している。

しかし、企業規模による差は大きく、「大企業」では不在率が24.9%にとどまった一方、「中小企業」は51.2%、中小企業のうち特に「小規模企業」は57.3%と高くなった。

業種別では、11年以降の調査期間で初めて、8業種すべてで不在率が60%を下回った。ことし不在率が最も高かったのは「建設業」の57.3%で、過去最も高かった18年の71.4%に比べて14.1ポイント低下した。運輸・通信業は45.7%で、前年から1.5ポイント下がった。

最も低いのは「製造業」の42.4%で、現状のペースで改善が進んだ場合、20年代に不在率40%を下回る可能性がある。製造業では自動車産業をはじめ、サプライチェーン供給網を構成する企業の事業承継問題が全体の供給網に影響を及ぼしかねないとの認識が広がっており、重点的な支援が行われてきたことも後継者不在の改善につながったとみられる。

また、創業家の世襲が続くファミリー企業では「脱ファミリー」の動きが強まっている。

後継者候補の属性をみると、最も多いのは「非同族」の41.0%で、前年を1.7ポイント上回った。後継者候補は「非同族」が4年連続のトップで、初めて40%を超えた。同族承継では子供が29.7%で最も多かったが、配偶者の4.7%とともに、前年から低下した。一方、親族は24.6%で前年から上昇した。

同社は「コロナ禍以前から官民一体となって推し進めてきた事業承継への啓蒙活動や支援が中小企業にも浸透・波及し、後継者問題に対する代表者側の関心の高まりや意識改革は着実に進んでいる」と国などの取り組みを評価する一方、「特に地方では、当代限りでの店じまいを決断する高齢の経営者など、事業承継を望まない層は多く、後継者不在率の押し上げ要因となっている」とも指摘している。

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