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日本の現金物流市場は30年までに4.9億ドル規模

2025年11月25日 (火)

調査・データマーケットリサーチセンター(東京都港区)は24日、日本の現金物流市場は2030年までに4億9000万ドル規模にまで拡大するとした、インドの市場調査会社ボナファイド・リサーチのレポート「現金物流の日本市場規模(-2030年)」の販売を開始した。日本ではキャッシュレス取引が徐々に増加する一方、高齢化社会と現金嗜好の文化で、安全に現金を取り扱うサービスへの安定した需要が維持される。

レポートによると、人口が密集した都市部の小売環境や、全国に整備されたATMインフラ、日常の買い物で現金を利用する消費者の継続的な嗜好が市場を支える。特に、高齢者の多くがデジタル決済より現金を好むことが現金物流サービスに対する需要を下支えする。

また、自動販売機オペレーターやコンビニエンスストアのような小売集約型産業では、1日の現金取扱高が非常に多く、安全に現金を回収し、正確に処理を行うために、信頼できる現金物流支援が不可欠となっている。海外からの観光客も現金を頻繁に利用していることから、観光業も現金物流を必要としている。

最近は、現金取り扱い手順の自動化とデジタル統合が進んでおり、ブリンクス・ジャパンやセコム、ALSOK(綜合警備保障)、日本通運などの大手企業が、AI(人工知能)を活用した金庫管理、IoTによる装甲車追跡、ロボットによる通貨選別機といったサービスを開発し、セキュリティや精度、業務スピードの向上を図っている。

サービスは、主にキャッシュマネジメントとキャッシュ・イン・トランジット(CIT)、ATMサービスに分けられる。キャッシュマネジメントは、主に金融機関や大手小売企業が対象で、効率的なキャッシュフローの監視や保管、通貨計数、照合、予測などを行っている。都市部の企業では、高度な自動金庫システムやAIベースの照合システムを活用し、大量の資金を扱う際の人的ミスを最小化しながら業務効率の改善を図っている。

CITは、銀行・商店・役所・ATM間の現金や貴重品の安全な輸送を担っている。装甲車にはGPS追跡機能が搭載され、改ざん防止コンテナやIoT対応セキュリティーシステムと組み合わせて、輸送中の完全なトレーサビリティーを確保し、盗難や紛失リスクを低減している。特にセコムやALSOKが高品質なセキュリティーサービスを提供している。

また、日本ではATM網が全国に広がっており、ATMのリアルタイム監視、機器メンテナンス、現金補充などのサービスが、都市部だけでなく郊外や地方でも現金へのアクセスを確保するうえで欠かせない。

輸送手段としては道路、鉄道、航空があり、道路輸送が主要な輸送手段となっている。装甲車両がCIT業務の大部分を担っており、銀行・ATM・小売店・政府施設間で現金を安全、迅速に輸送するうえで、日本の整備された道路インフラが基盤となっている。

鉄道輸送は、特に東京・大阪・名古屋といった都市部で大量の現金輸送に適した実用的な選択肢とされている。現金物流会社は、信頼性が高く時間厳守で知られる日本の鉄道網を活用し、道路混雑が輸送の障害となる混雑都市で、中距離の現金を迅速に輸送しており、日本の精密な物流文化が、鉄道を用いた現金輸送にも反映されている。

航空輸送は、道路や鉄道に比べれば利用比率は小さいものの、沖縄や北海道など孤立した地域への長距離・島間輸送には欠かせない。陸路輸送が難しい高額貨物や緊急配送で、迅速な輸送を図るために活用されており、航空保安機関との連携、電子追跡、密閉貨物コンテナなどのセキュリティー対策が講じられている。

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