調査・データジョーンズラングラサール(JLL、東京都千代田区)がこのほど公表した2025年第3四半期の「Japan Market Dynamics」によると、国内の大型物流施設市場は総じて堅調な需要を維持する一方、エリアごとの需給バランスや賃料動向の差が広がっている。建築コストや輸送費の上昇が市場構造に影響を与え、立地や仕様による選別が一段と鮮明になった。
東京圏では、純需要が162万平方メートル、新規供給が169万平方メートルとなり、空室率は9.1%まで低下した。前期比で1.16ポイント、前年同期比でも0.79ポイント改善している。EC(電子商取引)拡大を背景に需要は底堅く、賃料を引き下げた物件で新たな需要が喚起され、新規供給を上回る需要吸収もみられた。平均賃料は坪当たり月額4724円と前年同期比0.8%上昇したが、上昇ペースは減速局面に入っている。輸送費の上昇を受け、都心近接や湾岸部など利便性の高い立地で需要が強まる一方、周辺部では満床までに時間を要する物件もあり、需給の濃淡が拡大している。賃料上昇を背景に価格も上昇しており、投資市場では大口取引が続いた。
大阪圏では、新規供給が3棟計34万5000平方メートルあったものの、既存物件の空室消化と新規物件の高稼働竣工により、空室率は4.6%と低水準を維持した。賃料は坪当たり4245円と前年同期比2.4%上昇し、新築物件の高賃料が相場を押し上げている。投資利回りは横ばいながら、国内投資家を中心に投資需要は堅調で、価格は上昇基調が続く。
福岡圏では、新規供給が純需要を上回り、空室率は7.5%に上昇した。「ロジステーション福岡小郡」の供給が影響したものの、既存物件の稼働は引き続き安定している。賃料は一部物件で調整がみられたが、前年同期比では上昇を維持した。今後は冷凍冷蔵や高仕様物件を中心に需要が下支えされる一方、立地条件に劣る物件ではリーシング停滞のリスクもあり、二極化が進む見通しだ。
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