ロジスティクスJR貨物は5月29日、青森県と岩手県を対象にした「北東北地区における鉄道物流の災害による輸送障害に対するBCP策定に向けた官民一体の検討会」の概要を公表した。東北運輸局とJR貨物を共同事務局として、2月20日に青森市、3月26日に仙台市で計2回開催した。
検討会は、国土交通省の「今後の鉄道物流のあり方に関する検討会」中間とりまとめを受けた取り組み。災害時をはじめとする輸送障害への対策強化を目的に、鉄道寸断時の代行輸送や関係者間の連携手順を整理する。日本通運、八戸港湾運送、全国通運、日本フレートライナーなどの利用運送事業者、青森県、岩手県、青森市、八戸市、盛岡市、JR東日本、青い森鉄道、IGRいわて銀河鉄道、八戸臨海鉄道などが参加した。
議論では、岩手県内の大雨などで幹線が寸断された場合を想定し、盛岡貨物ターミナル駅と東青森駅、八戸貨物駅の間で、コンテナ積載トラックによる代行輸送体制を強化する課題を確認した。北東北の貨物鉄道では、いわて銀河鉄道線内が被災した場合の輸送力確保が大きな論点となる。岩手県は東北地区で豪雨や土砂災害リスクが高く、2022年7月、8月の大雨でも同線内が被災している。
また、有珠山噴火など北海道側の災害を想定し、北海道-青森県間の内航海運による代行輸送体制も議論した。有珠山は過去に30年前後の周期で噴火を繰り返しており、噴火時には室蘭線や道央自動車道の不通が想定される。鉄道と道路の双方が影響を受ける場合、船舶代行の立ち上げが重要になる。
代行輸送の実務面では、トラック駐車場の確保が課題に挙がった。大規模な代行輸送では全国からコンテナ積載トラックが集まるため、東青森駅、八戸貨物駅、盛岡貨物ターミナル駅周辺で夜間や休日に使える駐車場が不足すると、輸送開始や増強に時間を要する。このため、公共用地などを候補地として情報提供を求める方針を確認した。
特殊車両通行許可についても整理した。JRコンテナ積載トラックは大型の特殊車両が多く、3個積みセミトレーラー連結車などでは通行許可が必要になる場合がある。検討会では、発災時に自治体や国が許可手続きを迅速に処理することを確認したほか、可能な限り特殊車両通行確認制度を利用することを推奨した。盛岡貨物ターミナル駅-東青森駅・八戸貨物駅間の想定経路は、すべて高さ・重さ指定道路に指定済みであることも確認した。
船舶代行では、青森港と八戸港での岸壁使用や港湾荷役作業の確保が課題となる。利用運送事業者や港湾荷役事業者は、JR貨物から要請を受けた場合、岸壁や臨港道路の使用許可申請を港湾管理者に速やかに提出し、港湾管理者も可能な限り迅速に対応することを確認した。
鉄道貨物は長距離大量輸送やモーダルシフトを支える一方、線区寸断時には代替輸送力の確保が課題となる。北東北は北海道方面と本州側を結ぶ物流上の要衝でもあり、トラック、内航海運、港湾、自治体を含めた事前調整の実効性が、災害時の港湾供給網維持を左右する。
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