国際ホルムズ海峡の実質封鎖と紅海の脅威再燃が重なり、コンテナ海運は前例のない「二重チョークポイント危機」に直面している。(編集長・赤澤裕介)
2023年末から続くフーシ派の紅海攻撃でバブエルマンデブ海峡の安全が脅かされるなか、ペルシャ湾の入り口であるホルムズ海峡まで閉ざされた。インド洋から欧州・中東へ向かう海上輸送の二大要衝が同時に使えなくなり、船社は喜望峰(南アフリカ)経由の単一ルートに集中せざるを得ない状況だ。

(出所:CMA CGM)
CMA CGMはスエズ運河通過を無期限停止し、喜望峰へのルート変更を決定。マースクも中東-インド-地中海を結ぶME11サービスなどを喜望峰経由に切り替えた。MSCは中東向けの全世界貨物予約を全面停止し、湾内の全船舶にシェルター待機を指示した。
CMA CGMは3月2日積み日から緊急紛争サーチャージ(ECS)を導入した。20フィートドライコンテナで2000ドル、40フィートで3000ドル、リーファーや特殊コンテナで4000ドル。対象はイラク、バーレーン、クウェート、イエメン、カタール、オマーン、UAE、サウジアラビア、ヨルダン、エジプト(アインスフナ港)、ジブチ、スーダン、エリトリアの発着貨物だ。
喜望峰迂回で10-14日の遅延
喜望峰経由では、アジア-欧州間の航海日数が10-14日延びる。通常25-30日の日本-欧州航路は35-44日に伸び、燃料費は30-50%増加する。コンテナ運賃もTEUあたり1000-2000ドルの上乗せが見込まれる。
マースクとハパックロイドが26年4月に予定していた紅海復帰計画(ジェミニ協業)も完全に凍結された。海運調査会社のアナリストは「26年中の大規模な紅海復帰の見通しは消えた」と断言した。
海運分析会社の推定では、コンテナ船170隻(合計45万TEU、世界船腹の1.4%)がペルシャ湾内で足止め状態にある。15隻以上がホルムズ海峡の出入りを途中で引き返した。これらの船腹がネットワーク全体から抜け落ちることで、アジア-欧州だけでなくグローバルな配船計画に波及する。
世界トップ10に入るコンテナ港のジュベルアリ(ドバイ)ではイラン攻撃の迎撃破片による火災が発生。港湾機能は維持されているが、クウェートのシュアイバ港は全面停止、バーレーン、カタールの港湾も航行制限がかかった。
英国の貿易業界団体トップは、サプライチェーンの混乱が数か月続く可能性を警告した。23年の紅海危機は航路の延長で対処できたが、ホルムズ封鎖は質的に異なる。湾内に向かう貨物そのものの海上輸送手段がなくなるためだ。封鎖の長期化は、電子部品や消費財のサプライチェーンにも影響を広げる。
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