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アイシンがカーナビ技術で配送管理に変革起こす

2026年3月26日 (木)

話題物流業界の真の課題はドライバーや物流会社ではなく、荷主の意識にある──自動車部品のグローバルサプライヤーであるアイシンで、クラウド型配送管理システム「BRIDGES@ny」(ブリッジスエニー)の開発を主導する物流事業推進室室長の服部憲兒氏は、そう断言する。2024年問題の影響が残るなか、同社が目指すのは単なるシステム提供ではない。物流業界全体の構造改革だ。

大手自動車メーカーとの協業が導いた、荷主改革

BRIDGES@nyが走り出したのは2018年ごろ。アイシンはカーナビで磨き抜いた「道を読む力」を社会へ返す場を探していた。現場を丹念に深掘りすると、服部氏の結論は一点に収れんする。問われているのは運ぶ側の根性ではなく、頼む側の作法だ。

▲アイシン物流事業推進室室長の服部憲兒氏

転機は大手自動車メーカーとの協業だった。「荷主が丸投げせず、手元の地図を見ていた」と服部氏は語る。発荷主と着荷主、輸送会社が同じ卓で設計図を揃えるだけで、無理も無駄も薄まっていく。だが多くの企業では発荷主と着荷主が別々の仕組みを抱え、現場は辻褄合わせに追われる。そのしわ寄せはドライバーに来る。「わずかな確認のためにボタンを何度も押させる。これでは本末転倒だ」と服部氏は苦笑する。

「1.5倍がけ」の勘頼みから、圧倒的な予測精度へ

BRIDGES@nyの肝は、カーナビで鍛えた「読み」の精度にある。一般的な地図サービスなどが見ているのは、あくまで普通車の所要時間だと服部氏は指摘する。幅や重量の制限で進路が変わり、速度の前提も違うトラックでは、その計算がそのまま通らない。同社は道路ごとの混雑とトラックの実走行データを積み上げ、条件込みで所要時間を細かく弾き出す。

▲「BRIDGES@ny」を活用した荷主・輸送会社・ドライバー間の情報共有フロー

「計画段階では『1.5倍がけ』のような勘頼みだったが、予測時間が正確になれば余分なバッファを削れ、逆に無理な計画は伸ばすこともできる」と服部氏。続いて走行中。渋滞や事故といった不意打ちでも読みが外れにくく、遅延を事前につかめるのが強みだという。

荷待ち時間を4ポイントで「丸裸」に

▲アイシン物流事業推進室ビジネス戦略グループの濱北直氏

物流事業推進室ビジネス戦略グループの濱北直氏は「改善基準告示で労働時間の規制が厳しくなる以上、正確な時間計算が土台になる」と話す。BRIDGES@nyは、拠点到着・荷役開始・荷役終了・出発の4ポイントを検知して荷待ち時間を可視化する。「時間が正しく出ないと余計な荷待ちが生まれ、逆に現場を急がせる。そこを改められる」と服部氏は強調する。さらに、非効率な拠点をランキング形式で表示する機能も搭載。「どこの拠点に問題があるかが一目瞭然。改善につなげるための機能だ」と服部氏は説明する。

トヨタ、SUBARU…大手が続々採用

導入実績は拡大し、トヨタ自動車やSUBARUなど大手荷主が採用。服部氏は「荷主の意識改革の動きが出ている」と語る。2025年にはグッドデザイン賞も受賞。料金は管理者アカウントで月額3万円、ドライバーアカウントで月額2千円で、月額制のサブスク型プラットフォームとして機能を進化させていくという。

4月8日から10日に開かれる関西物流展に同社は出展する。「物流効率化法への対応で悩む荷主に来てほしい。物流会社も“庸車の見える化をしたい”という意味では同じ立場。だからこそ、同じ場で対話したい」と服部氏は呼びかけた。

「部分最適」の罠を破る

服部氏の視線は、業界の骨格に向く。「荷主・物流会社・ドライバーの利害が絡むと、最適化はどうしても『自分の持ち場』で止まる。発荷主と着荷主が別々のシステムを抱えるため、ドライバーは同じ情報を二度打つ。まず、この無理・無駄をほどかなければならない」と服部氏は警鐘を鳴らす。また、濱北氏は「部分最適ではなく全体最適が答え」と語り、服部氏も「管理で終わらせず、仕組みそのものを変える。狙いはシェアではなく、この発想を広げることだ」と強調した。

アイシンの狙いは、ツールの納品で終わらない。荷主・物流会社・ドライバーが同じ地図を共有して走れる「三方良し」の枠組みづくりだ。磨き上げたカーナビの「読み」を武器に、物流の骨格そのものを組み替えようとしている。「日本を元気にしたい。それが私たちの原動力だ」と服部氏は締めくくった。

「BRIDGES@ny」製品情報
「第7回 関西物流展」アイシン 出展概要

会期:2026年4月8日(水)-10日(金)10時〜17時(最終日は16時まで)
会場:インテックス大阪(大阪市住之江区南港北1-5-102)
来場方法:公式ウェブサイトでの「来場者事前登録」が必要(登録無料。「案内状」だけでは入場できません)
https://kansai-logix.com

【アイシン 展示ブース情報】
カテゴリー:物流業務支援
ブース番号:C2-84