調査・データ「スマート置き配」事業を展開するライナフ(東京都文京区)は26日、国土交通省が掲げる4月の「再配達削減PR月間」に合わせ、全国のマンション居住者を対象に再配達および置き配に関する意識調査を実施したと発表した。調査の結果、再配達削減への協力意向が高い一方、オートロック設備が置き配活用の障壁となっている実態が浮き彫りとなった。
調査によると、居住形態を問わず多くの回答者が再配達をドライバー負担の増加や環境負荷の拡大につながる社会課題と認識しており、削減に向けた取り組みに協力したいとする意向は強く、オートロック付きマンション居住者では87.8%と9割近くに達した。
特にオートロック付きマンション居住者では、再配達削減の障害として「配達時間に在宅できない」「オートロックがあるため玄関前に置き配できない」(ともに29.9%)といった住環境に起因する要因を挙げ、「宅配ボックスが満杯になりがち」(22.2%)という意見や、「配達時間の枠が少ない」という意見も寄せられた。また、配達時間帯の選択肢が限られていることも課題として指摘された。オートロックが利用者の再配達率削減取り組みを阻害する要因となってしまっていることが明らかになっている。
一方で、置き配に対するニーズは強く、オートロック付きマンションほど玄関前置き配を利用したいとする回答が多い傾向が確認された。肯定的な回答は78.7%にのぼり、非オートロック物件の居住者の利用意向(66.8%)を上回った。さらに、置き配が可能になればネット通販の利用頻度が増えると見込む回答は半数以上を占めた。特に重くかさばる商品や日用品、食品の定期購入などが利用増加の対象として挙げられ、置き配対応の有無が購買行動に影響を及ぼす可能性が示唆された。
同社は、再配達問題を「ドライバーの負担増」「環境負荷」の課題と認識し、その解決に向けて消費者の協力意向は高まっているとして、再配達削減を実現するための極めて重要な土台になると解説する。居住者の高い協力意識が基盤となる一方で、オートロック設備という設備的制約の解消が不可欠であると分析している。居住者が行動しやすいような設備の整備、セキュリティーを維持しつつ安全に置き配できる環境整備や、盗難リスクに対する責任範囲の明確化など、、物流事業者や居住者の努力にとどまらず、建物側のインフラ整備が、持続可能な物流システム構築の鍵になるとまとめている。(大津鉄也)
置き配普及の劇薬、「再配達有料化」の検証を提起
編集部では、今回の調査結果について、ライナフ滝沢潔社長にさらに詳しく話を聞くことができた。

▲ライナフ滝沢潔社長
──これまでは、再配達問題の背景として「消費者の意識変容」ばかりに焦点が当てられてきたように思う。配送ドライバーの厳しい日常業務への理解が深まったのは良い傾向だが、居住者が求めていても利用できない状況自体を抜本的に改善する必要がありそうだ。
滝沢:アンケート結果を見ても、消費者の協力意識はすでに十分に高い状態だが、置き配を選択できない環境に建物側がなってしまっている。消費者や物流事業者の努力だけに依存せず、建物側からも、宅配ロッカーの増設や置き配用スマートロックの設置など、物流にも優しい建物にしていくことが、入居者の利便性を高め、住まいの価値を高めることになる。
──実際、マンションデベロッパーや管理会社、管理組合の意識の変化など感じるところはあるか。
滝沢:居住者の利便性を高める置き配を、マンションの付加価値として捉え、導入を推進するデベロッパー・管理会社は着実に増えている。一方で、防犯の意識の高まりから導入に慎重な管理組合もまだ見受けられるが、実際にはスマート置き配システムの導入こそが、なりすまし入館などの防止につながる有効な対策でもあるということを広めて行きたい。
──私自身も昨年度に自宅マンションの管理組合役員を務め、置き配導入を起案した。規約変更の承認などで総意を得るのに時間を要することや、セキュリティー面の不安で積極的に導入反対するというよりも、別に今のままでも良いのではという慎重意見の方が多いと感じた。
滝沢:現状は、再配達を無料で配送会社が受け入れているため、入居者によっては“何回でも持ってこさせればいい”という感覚がまだあり、そのために、現状維持=置き配を認めない、という入居者は一定数存在し続けるのだと思う。いわゆる、現状維持バイアス、が今後の置き配普及の課題だと考える。
──建物設備の制約をクリアするためにも、引き続き居住者のさらなる理解促進が求められるということか。これまで以上に手強い利用者の行動変容に、次の有効な一手とは何か。
滝沢:再配達や時間帯指定の有料化、ではないか。「置き配ができないと不利益を被る」という状況にならない限り、現状維持バイアスのかかった入居者は、今後も再配達削減には非協力的であると思っている。
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