国際チェコ政府が、欧州で競争力低下が続く鉄道貨物輸送への対応をEUレベルで議論するよう求めている。CLECAT(欧州運送・物流・通関サービス協会)によると、チェコは6月8日に開かれるEU運輸理事会で、鉄道貨物部門の現状を議題にするよう要請した。道路輸送との競争や国境を越える運行上の制約が残るなか、環境政策上は鉄道へのモーダルシフトが求められており、政策目標と市場実態のずれが改めて問われる。
チェコのイワン・ベドナジーク運輸相は5月18日、アポストロス・ジジコスタス欧州委員(運輸担当)に書簡を送り、鉄道貨物を支援する複数の施策を示した。ほかの加盟国との協議もすでに進めており、6月の理事会で具体的な提案を示す見通しだ。
優先項目として挙げたのは、次期EU予算枠組みにおける欧州横断輸送ネットワーク(TEN-T)や複合一貫輸送ターミナルへの重点投資。あわせて、国際鉄道貨物により高い優先順位を与えることを含む容量管理の改善も求めている。鉄道貨物は旅客列車との線路容量の競合や国境通過時の調整負担が課題になりやすく、欧州域内物流の安定性を高めるには、インフラ整備だけでなく運行管理の見直しも欠かせない。
さらに、複合輸送への支援強化、ターミナルや操車場の整備、単車扱い輸送システムの近代化も盛り込んだ。単車扱いは小口・分散型の貨物を鉄道網に取り込むうえで重要だが、運用コストや作業効率の面で課題を抱える。道路輸送から鉄道への転換を進めるには、大口貨物だけでなく、多様な荷主が使いやすい受け皿を整える必要がある。
ERTMS(欧州鉄道交通管理システム)の展開も重点課題に位置付けた。加盟国ごとに異なる信号・運行管理システムは、国際鉄道貨物の相互運用性を妨げる要因となってきた。ERTMSの導入が進めば、国境を越える運行の効率化や運用上の障壁低減につながる可能性がある。
鉄道業界の代表者は共同声明で、チェコの提案を「欧州鉄道貨物の将来に向けた重要で時宜を得た政治的シグナル」と歓迎した。EUは脱炭素化や域内物流網の強靱化を掲げる一方、鉄道貨物の競争力低下という足元の課題を抱える。6月の運輸理事会では、投資、容量配分、複合輸送支援をどこまで具体策に落とし込めるかが焦点となる。
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