ロジスティクス全日本トラック協会(全ト協)は25日、都内で第103回通常総会を開催した。総会では、2025年度事業報告や決算報告、定款の一部変更などの重要議案が原案通り可決・承認されたほか、今後のトラック運送業界の安定的運営と社会的地位向上に向けた最優先課題が報告され、全国から集まった会員たちが一堂に会して意思の統一を図った。
冒頭に挨拶に立った寺岡洋一会長は、自身の会長就任からの1年間を振り返り、「60を超えた頃から1年の時の流れるスピードがとても早くなったが、今日までのこの1年は、非常に長く感じた」と、この一年が特別な一年であったと語った。また、さまざまな法案を通過させた一年を振り返り、業界にとって激動の1年であったと総括した。

▲全日本トラック協会会長、寺岡洋一氏
そして、業界の悲願であった「軽油引取税の暫定税率廃止」が実現した一方、その財源が消滅したことで「運輸事業振興助成交付金制度」が拠って立つ論拠を失った点に言及。今回の法改正で年200億円・5年間(計1000億円)の継続を確保できたものの、寺岡会長は「5年後にはどうなるのかわからない。5年後に今のような形で、国会で全会一致の支持が得られるということは、難しいのではないか」と、制度の将来に強い危機感を表明した。
今後の対策として、「年明けをめどにロビー活動、要望陳情活動をしていかなくてはならないだろう」とし、「全国47都道府県のトラック協会でも、各県の知事、副知事などと、この件についてのコミュニケーションもしっかりと取ってもらうとともに、地元選出の国会議員に対しても交付金が外々にとって必要なものかということを、認識の共有を進めてほしい」と早期のロビー活動の展開を強く呼びかけた。最後に、「エッセンシャルワーカーにふさわしい適正原価を勝ち取って、トラックドライバーにちゃんとした対価を払えるような枠組みへと整えていきたい」との決意を語り、挨拶を締めくくった。
通常総会の議事の後半では、当面する諸案件についての報告が行われた。報告では、三重県の新名神高速道路で発生した追突事故を教訓とした運転中の「ながらスマホ」の絶対禁止や、昨年の飲酒運転事案のうち95%が会員事業者によるものであったという極めて深刻な現状を踏まえた飲酒運転の完全根絶といった交通事故防止対策が強く促されたほか、今年度の主要会議・行事の日程などが順次説明された。

▲国土交通省大臣官房総括審議官の岡野まさ子氏
これらの報告事項に並び、寺岡会長が挨拶で言及した「運輸事業振興助成交付金制度について」の具体的な経緯と今後の見通しについても、全ト協事務局から詳細な報告がなされた。
交付金に関する報告の中では、暫定税率廃止の議論が持ち上がる中で財務当局が交付金制度の即時廃止を想定していたという緊迫した舞台裏が明かされた。全ト協の執行部は、最高顧問や専務理事を中心に国会や各政党への集中的なアプローチを行い、国会解散に伴う法案廃止の危機を乗り越え、通常国会の瀬戸際で議員立法の全会一致による成立を勝ち取ったという。これにより2030年度までの制度継続の道筋は開かれたものの、法改正の際に付された付帯決議に基づき、適正化二法による「物流政策推進会議」や実務レベルの作業チームを官民一体で早期に立ち上げ、新たな支援制度の在り方を速やかに検討していくことが次の焦点になるとされた。さらに、2027年度以降の具体的な裏打ち予算の確保に向けて、各地方トラック協会が地方自治体や地元議員と連携したロビー活動を年明けから本格化させることが、安定的財源の確保に不可欠であると強調された。
総会の最後には、国土交通省からの来賓による祝辞が送られた。国土交通省大臣官房総括審議官の岡野まさ子氏は、本年4月に施行された各改正法案に触れつつ、「改正物流法が本年 4月に全面施行となり、大手荷主などに対する中長期計画の策定や物流統括管理者の選任が義務付けられた。トラック適正化法については、本年 4月から一部施行され、違法な白トラックに関する荷主などの取り締まりや、再委託を 2回以内とする努力義務の制度が開始している」と進捗を述べ、さらに今月公布された「物流特殊指定」の改正にも触れ、「着荷主が契約にない荷回しなどトラック事業者にこなさせるなどの行為も新たに規制対象となることになります」と取引環境の適正化に向けた規制について、文字起こしに忠実な表現で説明した。

▲道路局高速道路課長の渡邊良一氏
また、今後の重要なマイルストーンとして、「2028年に予定されているトラック適正化法の全面施行に向けては、許可の更新制や適正原価の導入に関し、全ト協とも連携しつつ検討を進めていく」と語り、関係閣僚などからなる枠組みを早急に立ち上げて官民一体で物流施策を推進する姿勢を強調した。
続いて挨拶に立った道路局高速道路課長の渡邊良一氏は、今朝発生した岩手県沖地震等の対応で欠席となった沓掛敏夫道路局長からのメッセージを代読する形で挨拶に立ち、高速道路施策について、「強靭で効率的な物流ネットワークの整備や物流・運送事業者、特にドライバーの労働環境改善、生産性向上にしっかり資する取り組みを、引き続き高速道路会社と連携して取り組んでいく」と宣言した。その実現に向けて、「利用者の声を反映した渋滞対策や駐車スペースの拡充などを、これまで600か所以上で対策を完了しているが、今年度も80か所ほど新たな対策をやる」と具体的な成果と今後の計画に触れ、今後も現場の声を聴取しつつ連携を深めていく意向を述べ、総会を締めくくった。(土屋悟)
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