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完成車各社がSSAで連携、SCの品質管理適正化

2026年7月14日 (火)

荷主日本自動車工業会(自工会)と日本自動車部品工業会(部工会)は14日、顧客の期待を超えて厳格化した品質・性能基準を見直す「SSA」(Smart Standard Activity、品質性能基準適正化活動)の取り組みを説明した。完成車メーカー各社が従来の企業間の垣根を越え、非競争領域の品質基準について共通の考え方を整える。部品メーカーに重複した検査や管理を求めてきた「複数スタンダード」の解消に向け、自動車業界として異例の協調に踏み出した。

SSAは、顧客の安全・安心や実際の使用上の期待値に合わせて、品質・性能基準を適正化する活動。単に基準を緩和するのではなく、過剰な部分は見直す一方、不足する部分は改善する。トヨタ自動車が2017年末に始め、自工会と部工会は25年4月に合同ワーキンググループ(WG)を設置し、業界横断での展開を進めている。

トヨタでの具体例として、車両のドア内張りに使うドアトリムでは、従来、さまざまな角度から外観を検査し、わずかな不具合にも塗装による手直しを施していた。顧客から見える部分と見えにくい部分で基準にメリハリを設け、品質や安全に影響しない手直しを削減した。

ワイヤーハーネス用コネクターでは、機能に影響しない樹脂表面の黒点を理由に部品を廃棄していたが、曖昧だった判断基準を明確化し、不要な検査工程と廃棄を取りやめた。これまでトヨタが受け付けたSSA提案の67%が採用され、取り扱い件数も増えているという。

一方、トヨタ1社だけが基準を見直しても、ほかの完成車メーカーが従来の要求を続ければ、複数社に納入する部品メーカーは異なる基準を使い分けなければならない。製造現場では、同じ部品に対して検査や選別、帳票管理を分ける「ダブルスタンダード」が残り、負担軽減の効果が限定される。

こうした問題を解消するため、完成車メーカー各社が共通のテーブルについたことが今回の活動の大きな特長となる。説明会では、これまで完成車メーカー同士が実物を前に品質基準を議論する機会は少なかったとし、「OEMが一堂に会し、物を見ながら会話をする風景は、かつてはあまり経験がなかった」と活動の画期性を強調した。

完成車メーカーと部品メーカーの実務担当者が実物を確認しながら判断する「合同即断会」は、これまでに3回開催した。顧客からどのように見えるか、機能や商品選択に影響するかをその場で確認し、各社で異なっていた言葉や判断軸をそろえる。メーカー間の競争を維持しながら、競争する必要のない領域では共通化を進める狙いだ。

自工会には四輪・二輪を含む14社が参加しており、各社が独自基準を設ければ「14社なら14のスタンダード」が生まれる。サプライチェーンの上流に位置する部品メーカーほど、そのすべてへの対応を求められる。SSAでは各社の品質基準そのものを統一するのではなく、その前提となる顧客目線や判断の考え方を共通ガイドラインとして示す。

WGでは、価格や数量、調達戦略、取引条件など競争に関係する事項は扱わず、顧客の商品選択に影響しにくい外観品質などの非競争領域に対象を限定する。企業名や取引情報などの機微情報も参加者を限定して管理し、独占禁止法への配慮を徹底する。

両会は3月、基準の明確化、推進体制の構築、発注側による能動的な働きかけと傾聴を柱とする「SSA推進宣言」を公表。6月には取り組み事例集をまとめた。品質基準を示す発注者側から現場に働きかけ、受注や価格への影響を懸念する部品メーカーが困りごとを言い出せない「忖度の壁」を崩す。

外観品質については、各社が個別の基準を策定する際のよりどころとなる共通ガイドラインを整備した。現在は顧客から見える部品を中心に30程度の分類で検討している。今後はパワートレインやシャシーなど外から見えない部分を含め、検討対象の分類を広げる考えで、乗用車から二輪車、大型車へも対象を拡大する。

SSAによって生み出すのは、単なる品質管理コストの削減ではない。不要な検査や手直し、廃棄に使ってきた人員、設備、時間を、安全性の確保や技術開発、商品力の向上に振り向ける。さらに、品質基準の複数化が招いてきた専用荷姿、分別保管、追加検品、返品・再納入といった物流上の負荷も見直しの対象になり得ることは、物流領域のサプライチェーン適正化にも貴重な示唆を与える。完成車メーカーが企業間の垣根を越えて判断軸をそろえることで、部品メーカーの生産現場だけでなく、保管、荷役、輸送まで含むサプライチェーン全体のムダを減らし、日本の自動車産業の競争力と持続可能性につなげる。日本を代表する産業における画期的な連携取り組みは、今後の物流課題解決においても重要な先例となることが期待される。(大津鉄也)

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