行政・団体日本3PL協会は7月31日、「改善ソリューション委員会成果発表会」を開いた。東京会場に加え大阪会場ともオンラインで接続し、人材定着、連携配送、物流施設をテーマにした3研究グループが成果を報告した。
開会あいさつで、同協会専務理事の加藤進一郎氏は、協会が「共創」と「実践」を柱に、企業間連携と現場課題の解決に取り組んでいると説明した。会員数は2030年までに500社への拡大を目指し、西日本支部の開設や理事体制の強化も進めている。
物流は1社だけで課題を解決しにくい多重構造の産業だとして、荷主と3PL事業者が発注者と受託者の関係を超え、対等な立場で価値を生み出す必要性を指摘。AI(人工知能)やロボットの普及、企業間の情報共有を見据え、物流ガバナンスや人材育成にも力を入れる方針を示した。

▲日本3PL協会 加藤進一郎氏
続いて、ハイペリオン(東京都豊島区)常務取締役で改善ソリューション委員会副委員長の二宮修次氏は、改善ソリューション委員会の活動概要を紹介した。18年に物流センターの改善事例を研究する組織として発足。その後、ロボットやDX(デジタルトランスフォーメーション)の研究を経て、現在は技術ありきではなく、3PL事業者の課題を起点に解決策を検討していることを報告した。
続く基調講演では、センコーグループホールディングス専務執行役員の藤田浩二氏が「物流改善から物流改革へ」をテーマに講演した。
藤田氏は、物流の低収益事業所に共通する課題として、荷主・業務別の採算把握不足、現場との意思疎通不足、管理者のリーダーシップや作業進捗管理の欠如などを挙げた。現場改善だけでなく、営業方針、受注条件、生産計画、在庫、顧客サービスなど、物流の川上側まで見直す必要があるとした。
また、AIやロボットの普及で物流の装置産業化を進めるには、汎用倉庫では自動化や標準化に限界があると指摘。食品や電子機器など取扱商品をカテゴライズし、業務やシステムを標準化しやすい専門施設を構想段階から設計する必要性を強調した。
3PL事業者には、輸送や保管の受託にとどまらず、需要予測、在庫、受発注、輸配送を一体管理する役割が求められると説明。共同物流プラットフォームの構築や、マーケティングに基づく立地・施設設計が競争力を左右するとした。

研究成果発表では、人材グループが「人材の定着が物流を救う」をテーマに、採用強化だけでなく、現在働く人材を辞めさせない仕組みづくりを提言した。
EC物流倉庫の事例では、新人が質問相手を判別できる仕組みや教育担当者の見直し、「バイトさん」などではなく個人名で呼ぶルール、新人向け休憩スペースなどを導入。新人の不安や孤立感を減らし、稼働人数を抑えながら生産性を高めたという。
定期的な面談、キャリアパスの可視化、動画マニュアル、改善表彰なども紹介し、人材定着を品質、生産性、採用力を高める経営投資と位置づけた。
連携配送グループは、従来の共同配送に施設、人材、データの連携を加えた新たなモデルを提示した。
吉祥寺の共同配送や食品物流のサテライト活用を検証し、商業施設内の館内物流を、周辺のオフィス、住宅、商店街へ広げる「エリア物流」を提案。ラストワンマイルを台車、自転車、徒歩などに切り替え、プロドライバーを幹線・中継輸送へ集中させる考えだ。
商業施設、高架下、空きテナントなどを中継拠点に活用し、荷物、車両、人材をAIでマッチングする構想も示した。物流、施設、システム、人材、行政などが連携し、需要に応じて拠点と輸送力を組み替える仕組みを目指す。
物流施設グループは、物流現場で継続的に働く派遣スタッフ2072人へのアンケート調査を基に、「自動化よりも大切なこと」を検証した。
調査結果では、負担の大きい作業として、中腰や屈伸を繰り返す不自然な姿勢が最も多く、重量物の取り扱いが続いた。時給を上げてもこうした作業を避けたいとの回答が多く、賃金だけでは定着を図れないと分析する。自動化機器の導入などに大きなコストをかけることを前提とせず、運用の見直し、さらに作業環境を見直すことが、安定した施設運営の基盤になると解説した。
まず作業手順と指示を標準化し、次に照明、空調、作業台などを整え、その土台の上で自動化を進める3段階の改善を提案。照明や空調を設備コストではなく、人材定着と生産性を支える投資、これからの標準設備と捉え、「人が定着する物流施設」を開発・運営に取り入れる必要性を訴えた。(大津鉄也)
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