調査・データNX総合研究所(東京都千代田区)は12日、7月14日に公表した「2026年度の経済と貨物輸送の見通し(改訂)」について、国際貨物輸送の予測を会計年度(4月-翌年3月)ベースで分析した。海運輸出は前回の減少予測から0.1%増へ転じ、航空輸出は5.3%増に上方修正した。
修正幅は海運輸出が0.7ポイント、航空輸出が2.7ポイント。ともに予測を引き上げたものの、海運はほぼ横ばいにとどまり、航空は高い伸びを見込む。(編集長・赤澤裕介)
25年度の輸出は、海運、航空とも前回予測を上回った。海運の下期は減少予測から増加へ転じる見込み。米関税による下押しが想定より軽かったことや円安の長期化、前年同期の大幅減からの反動が寄与した。輸入は海運が上振れ、航空が下振れしたものの、予測との差は通期で0.5ポイント以内に収まった。
▲国際貨物輸送量の対前年度比。海運の2025年度は見込み値、航空は実績値(NX総合研究所の資料を基に作成)
海運輸出はコロナ前に届かず
航空輸出は25年度から2年連続でコロナ前の19年度水準を上回り、航空輸入も5年ぶりに同水準を回復する見通しだ。
海運輸出は19年度を3%強下回り、コロナ禍以降の7年間で一度も回復できていない。海運輸入は2年連続で19年度を上回る見込みで、輸出との違いも目立つ。
海運は東京、横浜、清水、名古屋、四日市、大阪、神戸、博多の主要8港における実入りコンテナ量、航空は成田、羽田、関西、中部の主要4空港における貨物重量が集計対象となる。
航空貨物運送協会(JAFA)の6月国際航空貨物取扱実績は、輸出重量が前年同月比14.61%増の7851万キロだった。アジア・オセアニア向けは21.44%増。AI(人工知能)関連の半導体需要とアジア向け貨物が伸びを支えた。
ただし、伸びの中心は中国ではない。海運と航空を区別しない財務省の輸出数量指数は、重量構成上、主に海運貨物を反映する。同指数ではアジア向けが3月以降プラスを維持する一方、中国向けは4月から減少幅を広げ、5-6月は2桁減となった。
航空貨物でもアジア向けの伸びが中国向けを上回った。ASEANや台湾、インド向けが中国の低迷を補っている。
海運混乱長期化なら航空上振れ
航空の中近東線は3月に前年同月比で6割近く減少した後、4月にプラスへ転じ、5月は6割超増、6月は倍増超まで回復した。中近東線のシェアは航空全体の1%未満で、これまで全体への影響は小さかった。
欧州航路では、中東情勢の長期化に伴って紅海・スエズ運河への復帰が遅れ、喜望峰経由の迂回が続いている。北米航路では、パナマ運河の渇水と通航制限が新たな変動要因となる。
▲国際貨物輸送の主な変動要因(NX総合研究所の分析を基に作成)
NX総研の標準シナリオでは、中東情勢が7-9月期から収束に向かい、紅海・スエズ運河の通航正常化や港湾混雑の緩和は10~12月期から27年1-3月期にかけて徐々に進む。
収束が10-12月期以降にずれ込めば、海運輸出が再びマイナスに転じる一方、航空輸出は2桁増となる可能性がある。0.1%増にとどまる海運輸出は下振れ余地が大きい。
対日輸出規制が国内工場の減産や停止につながれば、輸出を押し下げる。半面、代替調達先の確保や備蓄、安全在庫の積み増しは生産財輸入を押し上げる。中国の過剰生産を背景とした低価格品の流入も予想されている。
26年最後の改訂版として10月前半に公表する方針で、中東情勢、パナマ運河の通航状況、中国の輸出規制を踏まえて予測を見直す。
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