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過剰も傷も嫌う、梱包簡素化を阻む日本の二面性

2026年10月26日 (月)

調査・データネットロックシステム(東京都港区)が10月21日に公表した意識調査で、ネット通販で届く荷物の箱や袋が中身に対して大きすぎると思う経験が、少なくとも時々ある人は83.0%に達した。包装を無駄だと思う人は、12年前の調査でも多数派だった。それでも、違和感はなぜ解消されないのか。背景には、梱包の簡素化にたちはだかる、日本の消費者と商慣行に共通する二面性があるのではないか。(編集委員・刈屋大輔)

箱は小さく、でも傷は困る消費者

過大な梱包で困る点として最も多く挙がったのは、箱や緩衝材の廃棄量が増えることで、半数を超えた(51.5%)。3割前後で続いたのが、配送費用の無駄(31.5%)と環境負荷(31.0%)である。回答したのは通販の購入経験者200人で、9月29日にウェブで尋ねた。同社は梱包の最適化を支援するシステムを販売する側でもあり、数字はその前提で読む必要がある。

内閣府が2014年6月に実施した世論調査(1880人が回答)では、使い捨ての製品や容器、包装のうち無駄だと思うものを、複数回答で尋ねている。最も多かったのは「通信販売での二重以上の包装、大きな包装」で65.9%、2位の宿泊施設の使い捨て歯ブラシ等(35.9%)を大きく引き離した。設問も調査方法も異なるため単純には比べられないが、12年前に多数派が無駄と感じていたことは確かだろう。

その理由を探る手がかりの一つは、物流代行サービス「ジャパロジ」を運営するアールジャパンの調査(2026年5月、購入者200人)にある。梱包への考えを一つ選ばせると、必要最小限でよいとの答えが30.5%で最も多かった。別の設問で不満や不安につながりやすい点を3つまで選ばせると、商品保護の不十分さによる破損・汚損の不安(45.5%)に次いで、外装のつぶれや汚れが42.0%で2位に入った。

設問が異なるため、同じ人が両方を求めているかは分からない。ただ、梱包は最小限でよいという声と、外装の傷は困るという声が併存していることは読み取れる。この二つを同時に満たそうとすれば、余白と緩衝材で外装を守る梱包になりやすい。過剰梱包は、事業者の用心であると同時に、消費者の相反する声に挟まれた結果でもあるのではないか。

外装の傷を許さないBtoB

この構造はEC(電子商取引)に限らない。メーカーから卸、小売へと続くBtoBの納品でも、段ボールの凹みや擦れが検品で指摘され、受け取り拒否や返品、再納品に至る例は珍しくない。店頭で開梱され、すぐ古紙になる箱でも同様である。外装の傷は商品事故として扱われ、費用と責任は運んだ側に回りやすい。中身が無事でも外装で弾かれるなら、荷主や物流事業者にとって、箱を厚くし緩衝材を足すことは事故を避ける合理的な選択になる。梱包を削る動機は、構造的に生まれにくい。

外装の見た目まで品質に含めて見る目が、消費者にも取引の現場にも根づいている。簡素化を阻んでいるのは、環境意識の不足というより、この二つの目が重なる構造だろう。

歯止めの仕組みと問われる覚悟

海外に目を向けると、梱包の肥大化に歯止めをかける仕組みがある。米国ではアマゾンが、原箱のまま出荷できる荷姿を認証してきた。同社の公式ページによると、現在はShips in Product Packaging(SIPP)と呼ぶ枠組みを掲げ、2025年に世界で出荷された荷物の11%が追加の梱包なしだった。この認証は、箱の充填率(商品体積÷箱の体積)に基準を設け、輸送試験も課してきた。小型化は保護とセットで求められている。

中国は、宅配の過剰包装を制限する強制国家規格を今年7月に施行した。2024年末に公表されたもので、報道によると、箱の大きさや層数、テープ量に歯止めをかける内容である。

日本でも、アマゾンの認証制度や中国の強制規格のような仕組みを検討する時期ではないか。箱の大きさや層数に目安を設けるか、荷主やプラットフォームが出荷条件に適正サイズを組み込めば、個々の現場が単独で小型化に踏み出すより、事故の責任を分け合いやすくなる。ただし、減量が保護の低下を招いては本末転倒である。アマゾンが輸送試験を課しているように、保護の水準と対にした設計が欠かせない。

箱を小さくし緩衝材を減らせば、配送コストや廃棄物の削減につながり、環境負荷も軽くなる可能性がある。代わりに、輸送中に外装が凹む確率は上がる。中身が無事なら受け入れるとい覚悟が果たして消費者にはあるのだろうか。

問いは事業者にも向く。外装の傷を事故として扱ってきた荷主、納品先、物流事業者は、中身が無事なら受け入れるというルールを取引に書き込めるか。責任の所在があいまいなままでは、現場は箱を厚くし続けるほかない。

83.0%の違和感を数字のまま終わらせるか。それとも梱包を見直す契機にするかは、消費者と事業者、双方の覚悟にかかっている。

EC配送の過剰梱包、8割超が「大きすぎる」

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