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シーネットとカミナシ、第4回物流DX会議で現場で機能するDXを議論

物流DX定着と成功の鍵は、導入の前段階にあり

2026年10月30日 (金)

イベント物流現場のデジタル化が進む一方、導入したシステムが十分に使われず、期待した改善効果につながらないケースも少なくない。使い勝手の問題なのか、それとも現場の意識や業務の進め方に原因があるのか。物流DX(デジタルトランスフォーメーション)を定着させるためには、システム導入の前段階から見直すべきことがある。

本誌LOGISTICS TODAYでは「第4回物流DX会議2026」の模様を、28日から30日までの3日間にわたり「物流DXウィーク」としてオンライン配信。30日公開の特別企画「この指とまれ」では、クラウド型WMS(倉庫管理システム)を展開するシーネット(千葉市美浜区)第3営業部部長代理の櫻井麻衣子氏と、現場業務のデジタル化やデータ活用を支援するカミナシ(東京都千代田区)のプロダクトマーケティングマネージャー細見優太氏が登壇し、「倉庫内作業のデジタル化と定着化」をテーマに議論した。

個社のソリューション紹介ではなく、1つの物流課題をテーマに率直な意見をぶつけ合う「この指とまれ」企画では、事前の打ち合わせやシナリオを設けず、異なるソリューションを提供する2社が、現場DXの課題と解決策についてそれぞれの観点から意見を交わした。

▲(左から)シーネット櫻井氏、カミナシ細美氏

システム導入前に現場のルールをそろえておく

物流DXがなぜ定着しないのか。その理由について、シーネットの櫻井氏は「システムそのものというよりは、現場のやり方によるところが大きい」と指摘した。

荷主ごと、作業者ごとに異なる方法で業務を進めている状態のまま新たなシステムを導入しても、現場には根付きにくいという。

同社の音声システムを導入した物流現場では、事前に帳票や作業方法、ロケーション表記を統一。荷主ごとに重複していたロケーション番号をセンター共通のルールに整理したうえで、システムの運用を始めた。

「入れる前にそろえる」ことが、DX定着の重要な前提になった事例だ。

カミナシの細見氏も、導入前に経営層や管理者と現場が、取り組みの目的を共有する必要性を強調した。現場から「なぜ導入するのか」「今の方法の方がやりやすい」といった反応が出る背景には、導入の狙いや業務がどう改善されるのかが十分に伝わっていないことがある。

両氏が共通して提案したのは、対象業務を限定して小さく始めることだ。

櫻井氏は、改革を主導し、現場を支えるリーダーの存在も重要だと説明。細見氏は、小さな改善効果を現場にすぐ伝えることが、次の改革への意欲につながるとした。

例えば、紙の帳票を持ち運ぶ負担が減ったことや、写真記録によって異常を早く発見できたことを現場と共有する。小さな成功を積み重ねることで、DXを自分たちの改善活動として捉えられるようになる。

「考えさせない」UIが作業の定着を促す

システムの使いやすさの重要性についても、両氏の考えは一致した。

細見氏が重視するのは、作業者を「考えさせない」設計だ。決められた手順に沿って操作でき、異常が発生した場合にだけ必要な質問や指示が表示される仕組みであれば、経験の浅い作業者でも迷わず業務を進めやすい。

櫻井氏は、音声システムを例に挙げ、指示の伝え方そのものがUI(ユーザーインターフェース)になると説明した。

類似商品がある場合には事前に注意を促し、新商品であればその情報を音声で伝える。ロケーション番号と商品番号を組み合わせるなど、作業者が判断に迷わない指示を工夫することで、ミスの抑制や教育負担の軽減につながる。

また、櫻井氏は処理速度や通信の安定性も重要な選定基準になると指摘。1件当たりの処理時間の差が小さくても、1日に数万件を処理する現場では、生産性に大きく影響する可能性があるとした。

データを現場の改善行動につなげる

DXの効果をどう測るかについても、具体的な議論が交わされた。

細見氏は、デジタル化の意義について、紙の運用では把握しにくかった転記、ファイリング、保管、書類を探す時間などを可視化できることだと説明。こうした作業の実態が明らかになることで、改善すべき課題を具体的に議論できるようになる。

一方、櫻井氏は、作業実績を現場のモニターなどに表示することで、作業者同士の会話や気付きを促せるとした。従来は管理者が確認していた数値を現場でも共有し、改善活動につなげる考え方だ。

投資対効果(ROI)について、細見氏は、ミスや手戻り、クレームなどの品質面、紙の回収・保管などの直接的な作業負担、人材教育や業務標準化という3つの視点から評価することを提案した。

重要なのは、可視化そのものを目的にしないことだ。どの業務を改善するためにデジタル化するのかを明確にし、実際の効果を現場と共有することで、次の改善へつなげていく。

両氏の議論は、物流DXの定着には高度な機能を備えたシステムの選定だけでなく、導入前の業務標準化と目的の共有、現場が効果を実感できる仕組みづくりが欠かせないことを示した。

「物流DXウィーク」アーカイブ配信決定、取り組みの広がり再確認

3日間にわたる「物流DXウィーク」は、この最終セッション配信で幕を閉じた。

6社の参加からスタートした「物流DX会議」は、4回目となる今回は35社が参加、3日間で全31セッションという規模に拡大した。ソリューションベンダーによる技術・サービス・連携の提案のほか、荷主企業のCLOや行政、業界団体なども加わり、より広い領域で企業・業界を越えた連携のあり方が具体的に示された。

一方、規模や領域が拡大した分、3日間の物流DXウィークではすべてをフォローできなかったとの声も多い。サプライチェーン全域に視野を広げれば、それだけ課題の在り処も広がるだけに、関連するセッション全体を見直したいとの要望も寄せられた。

今回、こうした要望に応える形で「物流DXウィーク」のアーカイブ配信が決定した。3日間の配信期間に参加できなかった人や、関心があるセッションを見逃してしまった人、課題解決のヒントを前後工程や制度基盤自体から見つけたいなど、さらに多くの人に「物流DX会議」に参画してもらう機会となる。

課題は多い、だからこそまだまだたくさんの知見と行動が必要だ。今回、まずは配信だけで参加した人が次回のセッション登壇者になる、そんな広がりに期待したい。

▼【セッションテーマ一覧】はこちら▼
・10月27日更新版

▼【配信番組表】はこちら▼
・10月27日更新版

開催概要
第4回物流DX会議2026「The Implementation -実装-」

配信期間:2026年10月28日(水)-30日(金)の3日間限定
※3日間集中配信「物流DXウィーク」
開催形式:オンライン配信(事前登録者限定)※セッション単位で視聴可能
参加費 :無料(事前登録制)
主  催:LOGISTICS TODAY
協  力:物流DXコンソーシアム
※視聴URLは、公開の1週間前から前日を目処に登録者へメールでお知らせします
※登録しておけば、番組表の公開後に観たいセッションだけを選べます

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