調査・データジョーンズラングラサール(JLL、東京都千代田区)は29日、2026年第3四半期の「ロジスティクスマーケットダイナミクス」を発表した。大型物流施設の平均賃料は東京圏、大阪圏、福岡圏の3地域すべてで前年同期を上回った。東京圏は需給改善を背景に空室率が5四半期連続で低下した一方、大阪圏と福岡圏では新規供給が需要を上回り、空室率が上昇した。地域によって需給環境に差が出るなか、建築コスト上昇などを背景に賃料は上昇基調を維持している。
東京圏の空室率は7.3%で、前期から0.5ポイント、前年同期から2.7ポイント低下した。平均賃料は月額坪当たり4904円で、前期比1.4%増、前年同期比3.8%増となった。新規需要は21万5500坪で、新規供給の20万2800坪を上回った。EC(電子商取引)企業や3PL事業者に加え、小売企業による配送網拡大や越境ECを背景とした需要もみられた。第3四半期に竣工した7棟の平均稼働率は60%程度で、新築物件が一定の空室を抱えて完成する傾向は続くものの、好立地では高稼働での竣工もみられた。
東京圏では建築コスト上昇を背景に新築物件の賃料水準が上がり、その影響が既存物件にも波及している。27年の新規供給は23万8000坪と26年の48万4000坪から減少する一方、新規需要は33万9000坪を見込む。JLLは空室率の低下基調が続くと予測する。ただし、好立地物件では高い賃料上昇が期待される一方、圏央道周辺など競合物件が多いエリアでは空室消化に時間を要しており、地域間の差が広がる可能性がある。
大阪圏の空室率は3.0%で前期から1.2ポイント上昇した。平均賃料は月額坪当たり4368円で、前期比0.7%増、前年同期比2.9%増。第3四半期は3棟、5万7900坪が新規供給され、新規需要2万3700坪を上回った。新築物件が一定の空室を残して竣工したことが空室率を押し上げたが、既存物件の空室率は低水準にあり、JLLは供給増による上昇を一時的とみている。ECや3PLの需要は引き続き堅調で、好立地を中心にリーシングが進んでいる。
大阪圏では低い空室率を背景に貸し手優位の状況が続き、既存施設でも賃料引き上げの動きが出ている。26年と27年を合わせた新規供給は25年の75%程度にとどまる見通しで、今後の供給は京都エリアに集中する。京都以外では需給が引き締まった状態が続くとみられ、建築コストの上昇と合わせて既存物件にも賃料上昇圧力が波及するとしている。
福岡圏は空室率が9.9%となり、前期比0.7ポイント、前年同期比2.4ポイント上昇した。平均賃料は月額坪当たり3663円で、前期比1.1%増、前年同期比3.3%増だった。鳥栖エリアで大型物流施設1棟が空室を残して竣工し、新規需要5000坪に対して新規供給は1万坪となった。大型区画ではリーシングに時間を要するケースが増え、区画分割や募集条件の見直しによってテナント需要を取り込む動きもみられる。
福岡圏では第4四半期にも鳥栖を中心に2万9000坪の新規供給を予定し、空室率は当面高水準で推移する見通し。特に一般的なドライ倉庫では供給増によりリーシングの長期化が見込まれる。一方、自動車・半導体関連産業の集積を背景に、危険物倉庫など特殊用途の施設や冷凍冷蔵倉庫の需要は底堅い。JLLは、用途ごとの需給差が広がるなか、ドライ倉庫から冷凍冷蔵倉庫へ開発計画を切り替える動きが検討される可能性も指摘している。
3地域を比べると、東京圏は新規需要が供給を上回って空室率が低下し、大阪圏は新規供給による一時的な空室増、福岡圏は供給過多が続く構図となった。一方で平均賃料はいずれも前年同期を上回っており、物流施設市場では空室率の方向性が異なるなかでも、建築費上昇や好立地・特殊用途への需要を背景に賃料上昇が続いている。
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