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米向け郵便7割減、関税規制で国際網に亀裂

2026年11月4日 (水)

ロジスティクス万国郵便連合(UPU)は10月30日、各国が相次いで導入する関税・通関規制が国際郵便網の維持を脅かしているとして、加盟国に制度変更に向けた事前調整を求めた。米国や欧州連合(EU)の関税制度変更によって国際郵便物の取扱量が急減しており、規制への対応が遅れれば、一部の国・地域間で郵便による物流ルートが途絶えるおそれがあると警告した。

UPUの目時政彦事務局長は、管理理事会の全体会合で、加盟192か国に対し、サプライチェーン規制を巡る協調を呼びかけた。各国が独自に通関要件を変更すれば、郵便事業者は新たな貨物情報の提出や関税の事前徴収、ITシステムの改修などを迫られる。対応費用や法的責任が増大することで、輸送事業者が貨物の引き受けを拒否する可能性もあるという。

影響はすでに顕在化している。米国が2025年8月に少額輸入貨物への関税免除措置を撤廃し、原産地に応じた関税を適用した際には、同月の米国向け国際郵便物量が70%減少した。数週間のうちに40か国以上が米国向けの物品発送を停止し、1年後までに再開したのは30ルートにとどまった。

EUでも26年7月、150ユーロ以下の少額輸入貨物を対象に、1品目当たり3ユーロの定額関税を導入した結果、同月の郵便物の総重量が31%減少した。さらに11月1日からは、越境EC(電子商取引)商品の識別コード(PID)の提出も義務化された。米国税関・国境警備局(CBP)も、追加の通関要件に対応するための期限を10月22日から2027年1月20日に延期した。

UPUは、こうした制度変更の影響が特に中小・零細事業者や地方・遠隔地の利用者に集中すると指摘する。大手ECプラットフォームは一般貨物輸送への切り替えによってコスト負担を抑えられる可能性がある一方、小口貨物を扱う中小事業者にとって、国際郵便は低コストで利用できる重要な越境ECの輸送手段となっている。郵便ルートの縮小や運賃上昇は、こうした事業者の海外市場へのアクセスを制限しかねない。

UPUはこれまで、加盟国間の規制に関する協議を仲介するとともに、新たなデータ提出要件に対応する国際郵便の情報交換基準を改定し、各国の通関制度に合わせた関税元払い(DDP)の仕組みを整備してきた。

目時事務局長は、各国が貿易の適正化やサプライチェーンの安全確保を目的に規制を強化する権利を認めつつも、個別の制度変更に事後対応する方式には限界があると強調した。新たな規制の施行前に国際郵便網全体で対応態勢を整える必要があるとして、加盟国間の連携強化を訴えた。

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