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東京海上日動、保険事故データ活用し運送改善提案

2017年8月18日 (金)

話題東京海上日動火災保険は、神戸大学海事輸送研究室、包装コンサルティングを手がけるアイレップと3者で連携し、輸送事故の削減につながる荷主向け包装改善支援サービスを導入する。

多くの貨物事故情報データと事故分析実績を持つ東京海上日動と、貨物包装研究を専門とする神戸大学海事輸送研究室、豊富な包装デザインの実績とこれに基づくコンサル技術を持つアイロップが連携し、三者でダメージの分析と再現実験を実施。その結果に基づき、荷役作業から梱包方法までワンストップで運送改善のための支援を行う。

具体的には、実際に輸送する製品に対する強度試験を行い、破壊点を定量的に評価した上で、地域や輸送ルートを踏まえて想定される衝撃値を算出。その結果に耐えられる荷役作業と梱包方法を提案する。

提案導入後も、導入以降に発生した保険事故データを基に、1年を目安として改善効果検証と改善の継続確認を行い、PDCAサイクルを回して課題の克服まで継続的なソリューションを提供する。

同社によると、これまで家電製品や精密機械などの貨物を運送し、これらにダメージが生じた場合の原因分析は、主にショックレコーダー(衝撃記録計)による物流時の衝撃値の収集・分析や、実際の荷役作業を目視した上で、それに基づき改善案を提案する手法が一般的だった。

東南アジアを中心としたグローバル物流が増えているが、これらのルートではショックレコーダーによる衝撃値の収集・分析に基づくルート選定や積み付け方法の提案を行ったとしても舗装などが不十分な地域も多く機能しないことがあり、荷役作業は現地法人の下請け会社に委託しているケースが多く、他国の荷主や保険会社が直接提案するための接点を持つことが難しかった。また、国や知識によって荷役作業の特性や基準が違うことから、提案内容が受け入れられないケースも多かった。

対応するためには包装を改良・強化することが考えられるが、荷主個社の包装技術だけでは、厳しいコスト環境とも関連して対応が難しかった。また、仮に運送物がパーツの一部であっても、ひと度事故が発生すると部品の種類によってはメーカーのサプライチェーンが中断され、製品の生産ラインの稼働率や出荷計画に影響が出る恐れがあった。

東京海上日動では、8月から既契約者を対象に本格展開し、段階的にサービス拡大を目指すとしている。