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FC大型トラックの改良型公開、航続距離5割アップ

2018年7月31日 (火)
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調査・データトヨタ自動車は7月31日、米国カリフォルニア州の港湾エリアで行う大型燃料電池(FC)トラックの貨物輸送実験で、今秋から航続距離を5割伸ばした改良型車両を投入すると発表した。

北米トヨタが現地30日、米国の研究機関主催のイベントで、航続距離や居住性を向上させたFC大型商用トラックの改良型を公開したもので、昨年夏から同州で行ってきた実証実験に追加導入する。

1台目の実験車両は満充てん時の通常運行で推定航続距離が320キロとなっていたが、水素タンクの本数を4本から6本に増やして480キロまで伸長する。1台目は港湾エリアで貨物輸送を行い、これまでに1万6000キロを走行したという。

改良型は、これまでの実験で得た“学び”を生かし、居住性と操縦性を向上させる取り組みとして運転席のスペースに簡易ベッドを備えたスリーパーキャブを採用したほか、FCユニットの配置を工夫し、ホイールベースを延長することなく先代より広い車内空間を確保した。

プロジェクトのチーフ・エンジニアを務めるアンドリュー・ランド氏は「テストコースやロサンゼルス市の公道でFC大型商用トラックの性能を評価することにより、トラックの組立工程や車両性能の改善点をリストアップしてきた。改良型の開発では、実験車としての性能を向上させるだけでなく、実用化も視野に入れる必要があった」と語った。

ロングビーチ港やロサンゼルス港では、2030年までに「貨物負荷の高いトラック」が倍増するとみられており、環境問題の悪化が懸念されていることから、トヨタは、FC大型商用トラックの実証実験と併せ、バイオマスから水素・電気・水を生み出す発電施設「Tri-Gen」(トライジェン)の建設計画も打ち出している。

北米トヨタの電動車・先進技術部門でシニアマネージャーを務めるクレイグ・スコット氏は「FC技術の大型商用車への応用可能性を検証するという目標は達成することができた。今後は、FC大型商用トラックの実用可能性検証する。私たちは、水素利用の拡大を通じて、ロサンゼルス港のみならず、米国や世界での大気汚染対策に取り組んでいきたい」と述べた。