ピックアップテーマ
 
テーマ一覧
 
スペシャルコンテンツ一覧

医薬品輸送向けに20年発売

開かず内容物確認できる断熱ボックス、日独共同開発

2019年7月3日 (水)

サービス・商品大日本印刷は3日、独va-Q-tec社と共同で、ボックスを開けることなく中に入っている製品に貼付されたICタグの情報や温度センサーを外から読み取り、内容物の確認や温度管理ができる電波透過型の断熱ボックスを開発した、と発表した。適切な温度管理が求められる医薬品などの輸送用として、2020年に発売する。

医薬品卸は卸センターから支店、支店から薬局に製品を輸送する際、内容物を確認しているが、運搬時に指定温度を確保する必要があるため、断熱性の高い輸送用のボックスを利用するものの、従来の断熱ボックスでは水蒸気や酸素などを通しにくいアルミなどの金属を蒸着したフィルムを含む真空断熱パネルを使用しているため、その金属が電波を遮断してしまい、ICタグや温度センサーの無線通信で読み取れず、確認のために断熱ボックスを開けなければならなかった。

電波透過型断熱ボックスはこうした課題を解決するもので、大日本印刷がエレクトロニクス分野や産業用途で培った水蒸気や酸素などへの高いバリア性を持つ「DNP透明蒸着フィルム『IB-Film』」や真空断熱パネルで培ったノウハウを活用し、va-Q-tecが真空断熱ボックス技術を活用することで、電波の透過を可能にし、ICタグや温度センサーの無線通信を利用できる断熱ボックスとして開発した。

大日本印刷では「中に入れるすべての医薬品に貼り付けたICタグの情報を外から読み取ることで、その都度断熱ボックスを開けることなく内容物やボックス内の温度が確認できるため、医薬品の品質安定とすり替えなどの偽薬防止対策に活用できる」としている。

両社は医薬品卸会社など輸送時に適切な温度管理を必要とする用途向けに電波透過型断熱ボックスを販売し、20年度に年間10億円の売上を目指す。