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日本郵船、IMO規定で世界初の自動運行船実験

2019年10月1日 (火)

ロジスティクス日本郵船は9月30日、遠隔支援により乗組員の操船をサポートする「有人自律運航船」の実現に向けた自動運航技術の実証実験に成功した、と発表した。同実験は国際海事機関(IMO)が定めた指針に基づく世界初の実証実験となった。

▲実験を行った大型自動車専用船「イーリス・リーダー」

実験は同社の大型自動車専用船「IRIS LEADER」(イーリス・リーダー、総トン数7万826トン)を用いて行われ、中国・新沙から名古屋港(9月14日~17日)、名古屋港から横浜港(9月19日~20日)の試験区間を通常の乗組員による当直体制を維持したまま、昼夜を問わず断続的に「最適航行プログラム」を駆使して航行した。

同プログラムは、他船との衝突回避をサポートするもので、同社グループの日本海洋科学(川崎市幸区)が経験豊富な船長・航海士の経験値や感覚値を組み込んで開発。実験では航海計器のデータをもとに周囲の状況を把握し、衝突リスクを計算して最適な避航針路を決定、自動で操船するまでの一連の動作を実海域で実施した。

同社は、動作状況を監視・評価するなかで、陸上のシミュレーター実験では得られないさまざまなデータを取得。実用化の可能性を確認することができたことで、「有人自律運航船」の実現に向けた大きな一歩となった。今後はプログラムが導き出す進路と人間が下す判断との差異を調整するなど、さらに高度な操船支援技術へと改良を重ね、将来的には深刻な人手不足を抱える内航船にも展開することで社会課題の解決に貢献するという。

▲日本郵船が目指す「有人自律運航船」のイメージ(出所:日本郵船)

■実験の様子