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運輸・郵便、一般職定昇は低調もベア実施大幅増

2019年11月26日 (火)

話題厚生労働省が26日に発表した「賃金引上げ等の実態に関する調査」の概況によると、全産業平均と比較して、運輸・郵便業は一般職を対象にした定期昇給が低調に推移したものの、ベースアップを実施した企業の割合が大きく増加したことがわかった。

この調査は、厚生労働省が常用労働者100人以上を雇用する企業を対象に、毎年8月に実施しているもので、今回は有効回答があった1647社について集計を行った。

■賃金改定額4777円、343円増加
ことし「1人平均賃金を引き上げた・引き上げる」と回答した企業は、全産業平均が90.2%(前年比0.5ポイント上昇)、運輸・郵便業が88.7%(4.1ポイント上昇)と、運輸・郵便業は賃金引上げを実施した割合が増加し、全産業平均に近づいた。改定額は全産業平均が5592円と前年比83円減少しているのに対し、運輸・郵便業は4777円で343円増加した。その他の産業では、鉱業、建設、電気・ガス・水道、情報通信、卸売・小売などが増加し、製造、金融・保険、不動産、サービス業などが減少した。

■管理職の定昇が増加
賃金引上げの内訳を見ると、「定期昇給制度がある」と回答した企業のうち、実際に「管理職の定期昇給を行った・行う」とした企業の割合は、全産業平均は91.8%と2.8ポイントの上昇だったのに対し、運輸・郵便業は77.2%で8.3ポイントの上昇。同じく実際に「一般職の定期昇給を行った・行う」とした企業の割合は、全産業平均は96.2%と2.1ポイントの上昇だったのに対し、運輸・郵便業は91.5%と0.8ポイントの上昇にとどまった。

運輸・郵便業で定期昇給を行った企業の割合については、全産業平均と開きがあった管理職対象の実施割合が改善された一方で、一般職対象の実施割合は低調に推移したことがうかがえる。

■ベースアップは全産業平均を大きく上回る
一方で、ベースアップの実施状況については、「定昇とベアの区別がある」と回答した企業のうち、実際に「管理職のベアを行った・行う」とした企業の割合は、全産業平均38.5%と1.2ポイントの下降だったのに対し、運輸・郵便業は53.2%と31.6ポイントの上昇。同じく「一般職のベアを行った・行う」とした企業の割合は、全産業平均47.8%と0.8ポイントの上昇にとどまったのに対し、運輸・郵便業は55.6%と38.5ポイント上昇した。

運輸・郵便業は、定期昇給では全産業平均を下回る結果だったが、ベースアップに関しては平均を大きく上回り、全産業平均を押し上げる側に立った。労働組合からの賃上げ要求状況を参照すると、「賃上げ要求があった」とする企業の割合は、全産業平均81.1%(2.4ポイント上昇)だったのに対し、運輸・郵便業は77%(8.7ポイント上昇)で、比較的労働組合をもつ企業が多い運輸・郵便業は、労働組合の要求に対して企業側の理解があったといえる。