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日本郵船の座礁船、油回収作業終了のめど立たず

2021年8月13日 (金)

記者会見の様子。一番左が日本郵船の鹿島常務

事件・事故日本郵船がチャーターし、青森県の八戸港沖合で座礁した木材チップ運搬船「クリムゾン・ポラリス」について、日本郵船や同船の管理会社の美須賀海運(東京都千代田区)などは13日、オンラインによる記者会見を開催した。日本郵船の鹿島伸浩・常務執行役員ドライバルク輸送本部長は、関係各所と連携しながら対応に努めている旨を説明するとともに「運航会社として積極的に情報発信している」と強調。ただし回収作業の終了時期については、「悪天候などにより終了時期のめどが立っていない」(美須賀海運の岩井正実社長)としており、事故処理の長期化も懸念される。

破断した船体(出所:海上保安庁)

木材チップをタイから八戸に運んでいたクリムゾン・ポラリスは、11日午前7時35分ごろに八戸港の防波堤外側で停泊中、強風にあおられて座礁。12日未明には船体が2つに分断し、油の流出が確認された。船首部は現在、錨鎖により留まりながら浮遊し、船尾部は海底に着底しているとみられる。海域は砂地で、船底を打ち付けた衝撃で船体が割れることは想定できなかったという。

流出油は、亀裂が発生したと推定される船体後方の第3燃料タンクからのもので、タンク内の282トンが少しずつ流れ出ている模様。なお、分断した船体からパイプが露出していることで、第1・第2タンクについても、油が流出するおそれがあるとしている。油は北西に向けて流出しており、13日午前8時の時点で、八戸の北に位置するおいらせ町、六ケ所村にかけて漂着を確認。三沢市の海域では油を含んだ木材チップも漂着し、油臭が感じられるという。

流失油を回収するフェンス型油吸着マット

日本郵船は、事故対策本部を設置し、現地に人員5人を派遣して、海上保安庁などと連携しながら対応中。流出油については、現在はフェンス型油吸着マットや油処理剤で回収しており、海岸に漂着した油については、自走式のビーチクリーン機と作業員19人による回収を続けている。今後は流出油と流出貨物の回収を進めるとともに、燃料の抜き取りなどに取り組む。その後、2つに分断された船体を安全な場所に移動させる方針だ。