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オープンテキスト「企業SC透明性は購買行動に影響」

2021年10月11日 (月)

調査・データオープンテキスト(カナダ)は11日、消費者のエシカル・サプライチェーンに関する意識調査の結果を発表した。エシカル(倫理的)な調達やサプライチェーン(SC)の透明性を含む、環境的持続可能性や社会的責任に基づいた企業の取り組みが、消費者の購買行動にどのような影響を与えているかについて調査する狙いだ。

オープンテキストが日本を含め、カナダや米国、欧州5か国(イギリス、フランス、ドイツ、スペイン、イタリア)などをはじめとする12か国で、計2万7000人を対象に実施した。

日本の消費者は、各国と比較して、個人の購買面では環境・人権などに配慮したエシカル調達への意識が低い一方、新型コロナウイルス感染症が収束した際には、エシカル調達を実践している企業の製品を優先して購入する将来への意識が高いということが明らかになった。企業の取引に対して、日本の消費者は倫理的な行動規範の保証責任を求める声が高く、企業のサプライチェーンにおける、人権や合法取引、環境に配慮した倫理的で持続可能な仕組みづくりが求められていることが浮き彫りになった。

「倫理的に調達・生産された製品を購入することは重要であるか」という問いに対して、調査対象国全体の81%が「重要である」と回答しており、日本では75%の消費者が回答。これはアメリカ(73%)、イギリス(72%)、ドイツ(74%)の消費者よりも高い割合となっている。

また、現時点で78%が倫理的調達を表明している企業の製品を購入すると答えているが、コロナウイルス収束後に向けた購入意欲では全体で88%と、現時点での購買意欲よりも10%高いデータとなっている。

また、倫理的に調達された製品に関する重要性や購買意欲を裏付けるように、日本の消費者の7割が、倫理的に調達・生産されたものであることが確認できる製品に対して、「配送の遅延など多少の不便が生じても購入する」と回答。調査対象国全体では84%が同回答をしており、世界全体で倫理的なサプライチェーンの重要性が高まっていることも分かった。

「頻繁に購入するブランドが非倫理的なサプライヤーと取引していると非難された場合、そのブランドの製品を購入しない」と回答した日本の消費者は66%と、調査対象国全体の53%より13%高く、調査対象の12か国の中でインド(71%)に次いで高い結果となった。原材料の調達経路や取引先の調達方法の倫理性が確認できない企業について、「倫理的な取引のために仕組みを見直す必要があるか」という問いに対し、調査対象国全体の65%、日本でも56%が「必要」と回答。いずれの調査対象国でも半数以上がこの必要性を唱えており、倫理性を意識したサプライヤーとの取引や調達経路の確認は企業にとって喫緊の課題となりうると推察できる。

さらに、上記の回答を補足するように、日本の消費者の59%、調査対象国全体の71%が「企業には、自社の取引先が倫理的な行動規範の遵守を保証する責任がある」と回答。「責任ある調達に関して、政府が企業にさらなる責任を課す必要があるか」という問いに対しては、日本の回答者の56%が同意しており、調査対象国全体では69%に達するなど、消費者全体の傾向として企業やその取引先の調達について倫理性の保証を期待していることが示唆される。

オープンテキストは「新型コロナウイルス感染症の拡大以降、消費者の購買意識は変容し、倫理的に調達された製品への購買意欲が高まっており、企業やそのサプライヤーの事業活動に関する透明性も求められている」としたうえで、「透明性を強化し、倫理的なサプライチェーンを構築するには、サプライチェーンにおける川上から川下にわたる全体の情報把握やトラッキングが必要」と指摘している。